2020/11/24
ロボットによる微生物の大規模進化実験
-薬剤耐性進化を支配する拘束条件を発見-
理化学研究所
東京大学大学院理学系研究科
科学技術振興機構
概要
理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター多階層生命動態研究チームの前田智也基礎科学特別研究員、古澤力チームリーダー(東京大学大学院理学系研究科教授)、東京大学大学院理学系研究科の岩澤諄一郎大学院生の共同研究チームは、大腸菌の進化実験データを解析し、その薬剤耐性進化を支配する拘束条件を明らかにしました。
本研究成果は、抗生物質への耐性獲得を抑制する手法や新しい抗生物質の開発への貢献に加え、微生物進化の予測と制御による工学・農学分野への応用が期待できます。
今回、研究チームは、独自に開発した進化実験ロボットを用い、微生物を長期に培養し薬剤耐性進化の過程をハイスループットに解析できる仕組みを構築しました。それを用いて、微生物の一種である大腸菌をさまざまな薬剤を添加した環境で進化させ、その遺伝子発現量やゲノム配列変化などのデータから機械学習により、薬剤耐性進化を特徴づける状態量の抽出に成功しました。その解析から、さまざまに異なる薬剤に対する進化が少数の状態量で説明できることが示され、薬剤耐性進化に対する拘束条件が明らかになりました。
本研究は、オンライン科学雑誌『Nature Communications』(11月24日付)に掲載されました。
図:ロボットによる微生物進化実験の模式図とその結果の一部
詳細については、理化学研究所 のホームページをご覧ください。
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―