リチウム-11ハロー核内での中性子対相関に新たな発見
-ダイニュートロンの表面局在の証拠見つかる-
理化学研究所
フランス原子力庁サクレー研究所
徳山工業高等専門学校
東京工業大学
東京大学大学院理学系研究科
大阪大学
概要
理化学研究所(理研)仁科加速器科学研究センタースピン・アイソスピン研究室の久保田悠樹基礎科学特別研究員(研究当時)、上坂友洋室長、笹野匡紀専任研究員、フランス原子力庁サクレー研究所のアンナ・コルシ研究員、徳山工業高等専門学校の菊地右馬准教授らの国際共同研究グループは、理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」の多粒子測定装置「SAMURAIスペクトロメータ」を用いて、代表的な中性子ハロー原子核であるリチウム-11(11Li、陽子数3、中性子数8)核中で、「ダイニュートロン」と呼ばれるコンパクトな中性子対が核表面に局在化している証拠を得ました。
本研究成果は、中性子星表面に存在していると考えられている低密度の中性子過剰物質での秩序形成や安定化機構の理解につながる発見であり、中性子星の構造解明に貢献すると期待できます。
今回、国際共同研究グループは、RIBFで得られる大強度11Li核ビームに対し、中性子をたたき出すノックアウト反応を用いた実験を行い、11Li核内でハローを形成する二つの中性子の運動量を高精度で測定し、量子力学から得られる関係を用いて二つの中性子の空間的相関、具体的には中性子対間の距離が、11Li核内で位置によってどのように変化するか引き出すことに成功しました。実験結果により、二つの中性子は11Li核内に存在するリチウム-9(9Li、中性子数6)核の表面近くのみで、ダイニュートロンを形成することが明らかになりました。
図:11Li核内のダイニュートロンの表面局在を示す実験結果(赤丸)とダイニュートロンの概念図
本研究は、科学雑誌『Physical Review Letters』オンライン版(12月16日付:日本時間12月17日)に掲載されました。なお、本研究には、附属原子核科学研究センターの大田晋輔助教と堂園昌伯特任助教が参加しています。
詳細については、理化学研究所 のホームページをご覧ください。
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―