2020/10/20

精密測定により素粒子ニュートリノの謎の解明を目指すNINJA実験の物理解析が開始!

 

名古屋大学

京都大学

横浜国立大学

日本大学

東邦大学

東京大学宇宙線研究所

東京大学大学院理学系研究科

 

概要

名古屋大学高等研究院・大学院理学研究科の 福田 努YLC特任助教、同大学院理学研究科の 鈴木 陽介 大学院生、京都大学大学院理学研究科の 中家 剛 教授、平本 綾美 大学院生、横浜国立大学大学院工学研究院の 南野 彰宏 准教授、日本大学生産工学部の 三角 尚治 准教授、東邦大学理学部の 小川 了 教授、東京大学宇宙線研究所の 早戸 良成 准教授、東京大学大学院理学系研究科の 横山 将志 教授、神戸大学大学院人間発達環境学研究科の 青木 茂樹 教授をはじめとする研究グループは、茨城県東海村の大強度陽子加速器施設J-PARCのニュートリノ実験施設にて、素粒子ニュートリノの謎の解明を目指してニュートリノと物質の反応を高精度測定するNINJA実験の物理解析を開始し、ニュートリノ反応の検出に成功しました。

本研究では、世界最高の空間分解能を誇る素粒子測定器である原子核乾板を用いて不明な点が多いSub-GeVエネルギー領域のニュートリノ-原子核反応の高精度測定を実施することで、現在の宇宙で反物質が消えてしまった謎の解明や素粒子の標準理論に現れない新しいニュートリノの存在の検証を目指します。今回、NINJA実験を構成する大型実験装置群が有機的に機能し、ニュートリノ-原子核反応の検出法が確立しました。さらに、他の実験では測定が困難である水標的のニュートリノ反応から生成する低エネルギー陽子の測定能力を実証しました。今後さらなるデータ収集及びデータ解析を進めることで高精度でのニュートリノ測定が期待されます。

本研究成果は、914日~17日開催の日本物理学会秋季大会にて発表しました。また、20201015日付米国科学雑誌『Physical Review D』に陽子測定能力を実証した成果が掲載されました。

本研究は、科学研究費助成事業 新学術領域研究『ニュートリノで拓く素粒子と宇宙』(18H05535)等の支援やJ-PARC及びT2K実験の協力の下で行われたものです。

図:小型装置で測定した水標的での反ニュートリノ反応から生成した陽子の角度と運動量の分布。赤点が実験データでヒストグラムはシミュレーションによる予測値で、青色から黄色になるにつれて頻度が高くなります。他の実験で観測可能な運動量より低い0.5GeV/c以下の陽子が観測できています。この新しい情報により、提案されているニュートリノ‐原子核反応モデルの検証・改良が可能となりニュートリノの謎に迫ることができます。

 

詳細については、名古屋大学 のホームページをご覧ください。

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―