2020/09/22
リュウグウ表面に発見された明るい岩塊から
明らかになったS型小惑星との衝突
宇宙航空研究開発機構
東京大学大学院理学系研究科
名古屋大学
千葉工業大学
高知大学
立教大学
概要
暗いリュウグウ表面に非常に明るい岩塊が多数個発見されました。光学航法カメラ(ONC)と近赤外分光計(NIRS3)の観測により、この明るい岩塊のうち6つは外来起源物質である可能性が高いことがわかりました。特にこれらの岩塊はS型小惑星と似た反射スペクトルを持っていることが示されました。これらの岩塊はリュウグウの母天体とS型小惑星との衝突によりもたらされたものである可能性が高いと考えられます。ベヌーではV型小惑星に近い外来起源物質が発見されており、両者を比較すると両者が違う衝突史を経てきたことがわかります。また、リュウグウで見つかった明るい岩石のうち多くはリュウグウと似た反射スペクトルを持つこともわかりました。これらはリュウグウ母天体内部の異なる場所からきたものであると考えられます。「はやぶさ2」の回収試料の中にはこれらの明るい岩塊片が混ざっている可能性があり、それらを調べることによりリュウグウ母天体の熱進化や衝突天体についてより詳細な情報を得られることが期待できます。
本研究成果は、9月22日に Nature Astronomyへ掲載されました。
図:低高度撮像で見えたリュウグウの明るいボルダー(矢印)。特にタッチダウン運用で得られた高解像度の画像(a)(b)(c)には、その他にも明るい点がふりかけ状に存在することが分かる。(Tatsumi et al. 2020のFig.1を改変)
本研究成果は、地球惑星科学専攻の巽瑛理客員共同研究員、諸田智克准教授、杉田精司教授らが参加しています。
詳細については、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のホームページをご覧ください。
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―