2020/06/02

狙ったDNA配列にC→TとA→Gの同時塩基置換を誘導する新ゲノム編集技術

 

東京大学先端科学技術研究センター

神戸大学

慶應義塾大学

東京大学大学院理学系研究科

 

概要

近年、細胞内ゲノムDNA中の特定の狙った配列を自在に編集することができるゲノム編集技術が急速に発展しており、農業、医療分野を含めた生物学分野全体に大きな変革をもたらしつつあります。これまでに、CRISPR–Cas9というゲノム編集ツールや、DNA配列を編集する塩基編集ツールが開発されてきました。これらは精密なゲノム編集技術として注目を集める一方、ゲノムに書き込まれた生命プログラムを編集するという点においては、その自由度が限られていました。慶應義塾大学院政策・メディア研究科の森 秀人 大学院生、東京大学教養学部の坂田 莉奈 学部生、東京大学先端科学技術研究センターの石黒 宗 特任研究員および谷内江 望 准教授らの研究グループは、同研究所 油谷 浩幸 教授、東京大学大学院理学系研究科 濡木 理 教授、西増 弘志 准教授、慶應義塾大学先端生命科学研究所 冨田 勝 教授、神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科 近藤 昭彦 教授、同先端バイオ工学研究センター 西田 敬二 教授らとの共同研究により、狙ったDNA配列のC→Tおよび A→Gの異種塩基置換を同時に達成できる新たな塩基編集ツール「Target-ACEmax」の開発に成功しました。本新規ゲノム編集ツールは、さまざまな細胞においてより多様な塩基編集を可能にし、品種改良、遺伝子治療、動物の発生における細胞系譜の追跡など、さまざまな分野において幅広い応用が期待されます。

本研究成果は2020年6月1日付けで英国科学誌「Nature Biotechnology」に掲載されました。

図 : 従来の塩基編集技術。ニッカーゼ型Cas9がシチジンまたはアデニン脱アミノ化酵素を持っており、それぞれC→T置換あるいはA→G置換を誘導できる。

 

詳細については、東京大学先端科学技術研究センター のホームページをご覧ください。

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―