東京大学木曽観測所トモエゴゼン観測運用開始の記者発表会を開催いたしました
東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター木曽観測所
東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター木曽観測所は、国内研究機関およびキヤノン株式会社をはじめとした複数の企業との連携のもと、105㎝シュミット望遠鏡に搭載する新観測装置「トモエゴゼン」の開発を進めてきました。
トモエゴゼンは、天文用広視野動画カメラと人工知能ソフトウエア群からなる観測統合システムです。高感度CMOSイメージセンサを84台搭載することにより、105㎝シュミット望遠鏡の全焦点面を覆う広い視野(*1)と、世界初となる動画での天文観測を実現します。
(*1) 20平方度=満月84個分の領域に相当
トモエゴゼンの完成と本格稼働の開始に伴い、2019年9月30日(月)に、長野県木曽地域振興局木曽合同庁舎(木曽町)にて、記者発表会を開催しました。
長野県木曽地域振興局企画振興課の血脇秀明課長による冒頭の挨拶の後、続いて木曽観測所長の小林尚人より挨拶を行いました。挨拶では、木曽観測所を舞台にして長年積み重ねてきた観測装置開発の技術と、キヤノンの高感度CMOSイメージセンサの技術が出会い、シュミット望遠鏡の広視野を活かす究極の観測装置が完成したこと、そこから新しい天文学が始まろうとしていることが述べられました。
次に、トモエゴゼン計画研究主任の酒向重行助教(東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター)より、「トモエゴゼンの観測運用の開始について」というタイトルで発表を行いました。まずは、トモエゴゼンの概念やカメラの特長、人工知能を搭載した計算機群によるデータ処理について説明を行い、続いて、空の広域観測の様子を、実際に取得した広域観測の動画や全天の合成画像を用いながら紹介しました。最後に、超新星や地球接近小惑星の大量検出をはじめとした、トモエゴゼンで期待される様々な科学成果を述べ、宇宙データの多分野での利用など今後の展望についても言及しました。
続いて、トモエゴゼン実現の鍵となる高感度CMOSイメージセンサを開発したキヤノン株式会社の市川武史デバイス開発本部長より「高感度CMOSセンサの天文分野への貢献について」というタイトルで発表がありました。天文分野との連携の経緯や、トモエゴゼンカメラ搭載の高感度CMOSイメージセンサを実現した技術、今後のCMOSセンサの技術展開についての紹介がありました。キヤノンの高い技術力と、それを世の中に役立てたいという強い想いを感じる発表内容でした。
発表後は、集まった報道関係者および一般の傍聴者から質問を受けた後、木曽観測所へ移動して、105㎝シュミット望遠鏡とトモエゴゼンの見学会を行いました。
2019年10月より本格稼働を開始するトモエゴゼンは、短時間に変わりゆく宇宙の姿を探査し、天文学の新領域の開拓に挑みます。今後のトモエゴゼンの活躍にご期待ください。
<発表内容のページへのリンク>
東京大学木曽観測所トモエゴゼンの観測運用の開始について
http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/NEWS/pr20190930/pr20190930.html
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―