2019/07/23

レーザーとマイクロ流体チップによる超高速セルソーター

~レーザーで従来方法の限界を突破~

 

奈良先端科学技術大学院大学

東京大学

 

概要

奈良先端科学技術大学院大学(奈良先端大、学長 横矢 直和)生体プロセス工学研究室の細川陽一郎(ほそかわ よういちろう)教授、飯野敬矩(いいの たかのり)元特任助教、東京大学大学院工学系研究科の小関泰之(おぜき やすゆき)准教授、東京大学大学院理学系研究科の合田圭介(ごうだ けいすけ)教授らは、奈良先端科学技術大学、東京大学、名古屋大学から構成される共同研究チームとともに、レーザーを用いて、マイクロメートルサイズの細胞や粒子を高速に判別し、1つ1つ高効率かつ高純度に分取する技術を開発しました。現在、このような粒子ごとの選別技術が、医学、生物学、細胞工学、環境工学などの分野で注目されており、電気的・機械的な方法により粒子を高速に分取する装置が開発され普及しています。本研究では、レーザーとマイクロチップを駆使することにより、これらの従来の高速分取装置では突破できなかった限界を超える方法提案に成功し、“超”高速セルソーターを実現する要素技術を開発しました。

本成果をまとめた、“High-speed microparticle isolation unlimited by Poisson statistics(ポアソン統計に制限されない高速粒子分取)”と題する論文が、2019年7月23日午前9時(英国夏時間)にイギリスのRoyal Society of Chemistryの学術誌「Lab on a Chip」のオンライン版で公開されました。

この研究成果は、内閣府革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)、日本学術振興会研究拠点形成事業、ホワイトロック財団研究開発助成のもとで実施したものです。

 

図1 フェムト秒レーザーを用いた微粒子分取の代表例
写真中の左から右に向けて、流路の中央に直径10ミクロンの微粒子が流れており、その内、4連続で流れる粒子を下図に拡大している。写真は、右から左に向けて100,000分の1秒おきに撮影されており、目的とする光る粒子が検出され(左から2番目の写真)、フェムト秒レーザーによりその粒子だけが弾き飛ばされ(左から3番目と4番目の写真)、分取されようとする様子が撮影されている。

 

詳細については、 奈良先端科学技術大学院大学 のホームページをご覧ください。

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―