2019/05/02

魔法数研究に金字塔 ~ついに中性子過剰なニッケル原子核の二重魔法性に結論~

 

理化学研究所

東京大学大学院理学系研究科

 

概要

理化学研究所(理研)仁科加速器科学研究センターRI物理研究室の谷内稜リサーチアソシエイト(研究当時、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻大学院生)、ドルネンバル・ピーター専任研究員、櫻井博儀室長(東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授)らの国際共同研究グループは、中性子過剰なニッケル同位体である78Ni原子核(陽子数28、中性子数50)のガンマ線分光に成功し、長年未解決であった二重魔法性の直接的証拠を発見しました。

本研究成果は、原子核の内部構造を理解する手掛かりになるのみならず、宇宙における重元素合成(r過程)の謎を解くための鍵になると期待できます。

今回、国際共同研究グループは、世界最高性能で不安定原子核ビームを生成するRIビームファクトリー(RIBF)において、極めて中性子過剰な78Ni原子核の励起状態を生成し、その励起エネルギーを測定することに初めて成功しました。実験は、フランスCEAサクレー研究所が開発を主導した高機能液体水素標的装置MINOS(ミノス)を、理研が保有する高効率ガンマ線検出装置DALI2(ダリツー)と組み合わせて使用することで達成されました。78Niの第一励起準位(2+準位)から発せられる高いエネルギーの脱励起ガンマ線の存在を確認しました。これは、中性子過剰な78Ni原子核においても二重魔法性が保持される直接的で強い証拠です。

本研究には 重点課題9サブ課題Bメンバー の大塚孝治(東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 名誉教授 / 理化学研究所 仁科加速器科学研究センター 核分光研究室 客員主管研究員)および、角田佑介(大学院理学系研究科 特任研究員)が参加しています。

本研究は、国際科学雑誌「 Nature 」の掲載に先立ち、オンライン版(2019年5月1日付け:日本時間5月2日)に掲載されました。

 

図. 本研究で探索した78Niは、二重魔法数原子核の中で最も中性子ドリップラインに近い

 

詳細については、 理化学研究所 のホームページをご覧ください。

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―