2015/09/25

超高速光化学反応を可視化する「分子ムービー」の原理を実証

発表者

  • 大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
  • 国立研究開発法人 理化学研究所
  • 公益財団法人 高輝度光科学研究センター

概要

高エネルギー加速器研究機構(KEK)、東京大学、立命館大学、千葉大学、京都大学、日本原子力研究開発機構(JAEA)、理化学研究所(理研)、高輝度光科学研究センター(JASRI)は、X線自由電子レーザー(XFEL)施設「SACLA」を用いて、向きを揃えたヨウ素分子(I2)からのX線光電子回折像を観測することに成功しました。

光を照射することで物質に化学変化を起こす多くの光化学反応は、ピコ秒~フェムト秒の超高速で進行する反応なので、その超高速過程を光電子回折法で直接観測した例はこれまでありませんでした。研究グループは、気体ヨウ素分子の向きをレーザー電場で制御し、大強度・超短パルスであるXFELを用いることにより、ヨウ素分子から光電子が出る瞬間の分子構造を捉えることに成功しました。これは、超高速で起こる気相光化学反応を可視化する「分子ムービー」の原理を実証したことになります。

本研究は、KEK物質構造科学研究所の柳下明シニアフェロー、中嶋享特任助教(現JASRI博士研究員)、和田健特別助教、東京大学の酒井広文准教授、峰本紳一郎助教、立命館大学の寺本高啓助教、千葉大学の藤川高志名誉教授、水流翔太DC2、京都大学の間嶋拓也助教、JAEAの赤木浩研究副主幹、理研放射光科学総合研究センター・ビームライン研究開発グループの矢橋牧名グループディレクター、JASRI・XFEL利用研究推進室の富樫格研究員らを中心とした共同研究グループの成果です。本研究は、SACLAのビームラインBL3を利用して行われました。

本成果は、オンライン版の科学雑誌『Scientific Reports』の9月15日号(現地時間)に掲載されました。

詳細については 高エネルギー加速器研究機構 、及び、 理化学研究所 のホームページをご覧ください。