2015/07/22

水をくんで調べれば、生息する魚の種類が分かる新技術を開発

発表者

  • 科学技術振興機構
  • 千葉県立中央博物館
  • 神戸大学
  • 東京大学

概要

図1

参考写真 沖縄美(ちゅ)ら海水族館の黒潮水槽の全景図
成長すると全長10mを越すジンベエザメ3尾が泳ぎ、幅35m・奥行き27m・深さ10mで7,500m3の容積を持つ巨大水槽。

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JST 戦略的創造研究推進事業(CREST)の一環として、千葉県立中央博物館の宮 正樹 主席研究員、東北大学、東京大学、沖縄美ら島財団、神戸大学、龍谷大学、北海道大学からなる研究グループは、魚から体表の粘液や糞などとともに水中に放出されたDNA(環境DNA)を分析することによって、DNAを放出した魚の種類を判定する技術を開発しました。

海や川や湖沼に生息する魚の種類を調べるには、水中に潜って魚を観察したり、網などの漁具を使って魚を捕るなど、多大な労力と費用がかかる上に長期間にわたる調査が必要でした。近年、魚を含む生物の体表の粘液や糞などとともに放出されたDNAが水中をただよっていることが明らかになり、「環境DNA」と呼ばれて注目を集めています。今回の研究では、微量な環境DNAから魚の種類が分かる部分を選択的に増幅し、それを最新の機器で分析してDNAの塩基配列を読み取り、DNAを放出した魚の種類を判定する技術を開発しました。この技術を使えば、魚に関する専門的な知識がなくても、水をくんでDNAを分析するだけで、生息する魚の種類をわずか数日間の実験と解析で推定できます。従来の手法(目視や漁獲)では実現できなかった魚類多様性のモニタリングを、大きな労力と時間をかけずに長期間かつ広範囲に行うことを可能にした画期的な手法となることが期待されます。

詳細については 科学技術振興機構 のホームページをご覧ください。