2015/04/15

タンパク質膜組込装置YidC の機能に重要な性質を発見

発表者

  • 学校法人 京都産業大学
  • 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
  • 国立大学法人 東京大学

概要

タンパク質を細胞膜に組み込むことは、細胞が実行しなければならない基本的な機能で、細胞の生育に必須である。YidCと呼ばれる膜タンパク質は、細菌からヒトまで広く保存された重要な「タンパク質膜組込装置」である。また、他のタンパク質膜組込装置と異なり、YidCは、チャネル(タンパク質を透過させる孔)を使わないようなユニークな膜組込装置であるらしいことが、最近の私たちの研究から分かってきた。このことは、同時に、チャネルを使わずにどのようにしてタンパク質を膜に挿入するのか、という根本的な疑問を我々に投げかけた。

今回私たちは、生きた細胞内でのYidCの在り方について調査し、YidCが、本来であれば水分子を排除するはずの膜内環境に、局所的に、水分子を含むような特殊な環境(親水的な環境)を作り出しているらしいことを突き止めた。そして、この親水的な環境を作り出すことが、YidCによるタンパク質の膜組込に必要であることも明らかにした。さらに、YidCが、背反する電荷同士の生み出す静電的な引っ張り力をタンパク質膜組込の駆動力として利用しているという、最近私たちが提唱したモデルを、さらに裏付ける結果を得た。

以上の結果は、YidCが、チャネルを使わずにタンパク質の膜組込を成し遂げるメカニズムを理解する上で重要な手がかりを与えるものである。

詳細については 京都産業大学 のホームページをご覧ください。