2013/8/5(配信日7/30)

すばる望遠鏡 SEEDS プロジェクト、「第二の木星」の直接撮影に成功

発表者

  • 国立天文台
  • 東京大学
  • 東京工業大学
  • 京都大学
  • 大阪大学
  • 東北大学
  • プリンストン大学(米)
  • マックスプランク研究所(独)
  • チャールストン大学(米)
  • NASAゴダード(米)

概要

すばる望遠鏡では、太陽系外の惑星やその誕生現場である原始惑星系円盤などを直接撮像観測するプロジェクト SEEDSが2009年から行われています(研究代表者:東京大学大学院理学系研究科天文学専攻・教授・田村元秀)。今回、東京工業大学・東京大学・国立天文台を中心とする研究チームは SEEDSプロジェクトの中で、おとめ座の方向、地球から約60光年離れた太陽型の恒星(GJ 504)を周回する惑星 GJ 504 bを、世界で初めて直接撮像法で発見することに成功しました。

今回新たに発見した惑星GJ 504bは、惑星の明るさから質量を推定する際に生じる不定性が小さく、質量推定の信頼度が極めて高いものです。さらにこの惑星は、これまで直接撮像された惑星と比較して、最も暗くかつ最も温度が低いことが分かっています。これらのことをふまえると、我々は「第二の木星」の直接撮像に、これまでで最も近づいたと言えるでしょう。これは、将来、地球のような小さく暗い惑星を直接撮像するための重要な試金石でもあります。

惑星GJ 504 bは主星から44天文単位離れた領域に発見されました。標準的な惑星形成モデルでは、このような「太陽のような主星から離れた領域(海王星以遠)」で巨大惑星が誕生することを説明することは困難です。SEEDSプロジェクトでは多くの原始惑星系円盤などにおいて同様の半径領域やさらに外側の領域で、隙間構造、渦巻腕構造、リング構造など「惑星存在の兆候」が数多く見られることを直接に画像で捉えています。これら一連の結果は、惑星形成過程において、従来の枠組みを超えた理論的なモデルが重要になることを示唆しています。

SEEDSプロジェクトでは最終的に約500個の恒星に対して観測が行われます。今後、SEEDSプロジェクトによる探査結果の統計が、惑星の誕生と進化の謎を理解する上でさらに重要な糸口を与えるはずです。

詳細について 国立天文台 のホームページをご覧ください。