2013/4/23

星・惑星の誕生領域の赤外線のかたよりの普遍性と生命のホモキラリティー

発表者

  • 総合研究大学院大学
  • 国立天文台
  • 一橋大学
  • 名古屋大学
  • 京都大学
  • ハートフォードシャー大学

概要

權靜美さん(総合研究大学院大学・国立天文台)を中心とする研究チームは、「猫の手星雲」(NGC 6334) と呼ばれる星・惑星形成領域を赤外線で観測し、22%という高い円偏光を検出することに成功しました。これは、これまでに報告されたなかで最大の赤外線円偏光です。

さらに研究チームは、世界で初めて系統的に星・惑星形成領域の円偏光を観測し、同様の円偏光を合計9つの星・惑星形成領域において検出しました。つまり円偏光は星・惑星形成領域で普遍的な現象と言えそうです。この円偏光のデータにより、従来の手法では難しかった原始星周辺の磁場構造の情報を得ることが出来るようになりました。

「大きな円偏光は生命のアミノ酸のかたよりの原因であり、宇宙におけるアミノ酸のキラリティーを引き起す」という仮説があります。今回、研究チームにより世で初めて円偏光の普遍性が発見されたことは、この仮説をサポートするものと考えられます。

本研究は、IRSF/SIRPOL望遠鏡による赤外線3バンド同時偏光観測サーベイプロジェクト【プロジェクト代表者:田村元秀東京大学教授および国立天文台】の一環として行われ、本プロジェクトメンバーである総合研究大学院大学・国立天文台の權靜美(博士課程学生)を主体に、日英9名の共著者による論文が、米国の天体物理学専門誌「アストロフィジカルジャーナル・レター」の 2013年3月1日号に掲載されました。

詳細について 国立天文台 のホームページをご覧ください。