2012/4/20

日米共同BESS-Polar実験(ベスポーラー)
世界最高感度で反ヘリウム原子核を探索

発表者

  • 大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
  • 独立行政法人 宇宙航空研究開発機構
  • 国立大学法人 東京大学

概要

南極上空を周回する高高度気球による宇宙線観測実験(BESS-Polar)は、これまでに2度の宇宙線観測(2004, 2007-2008)に成功した。今回の結果は合計1ヶ月以上に及ぶ宇宙線観測により得られたデータから反ヘリウム原子核を探索したものである。

探索は1~14 GVのRigidity(運動量/電荷)範囲で行われ、4800万例のヘリウム核が観測された中で、反ヘリウム核は一例も観測されなかった。この結果に今までのBESS(ベス)実験のデータを合わせて、ヘリウム核に対する反ヘリウム核比の上限値を6.9x10-8(存在比の上限が1千万分の1以下)とする結果を得た。これは、我々の周りにおける反物質が優勢な世界の存在をこれまでで最も高感度で直接探索したものである。

この研究成果は、アメリカ物理学会が発行する学術雑誌「Physical Review Letters」(Received 13 January 2012; published 29 March 2012)にて掲載され、「編集者が推薦する興味深い成果」(Editors' Suggestion)に選ばれた。

詳細について高エネルギー加速器研究機構のホームページをご覧ください。