宇宙の真の明るさを解明
発表者
- 名古屋大学大学院理学研究科
- 東京大学大学院理学系研究科
概要
この宇宙にどれだけの光が満ちているのかという問題は、宇宙の成り立ちと密接に関わるものとして古くから人類に認識されてきました。 地球から見上げた夜空には、太陽系の属する天の川銀河の無数の星々と星間塵が輝いています。 しかしより重要なのは、「宇宙の真の明るさ」とも言うべき、天の川銀河外側に広がる全宇宙空間を満たす光です。 主に電波波長帯においてはそのような光を表す「宇宙マイクロ波背景放射」の精密測定がすでに行われ、宇宙の基本性質が次々と明らかになりましたが、人類にとって最も基本的と言って良い可視光波長帯においては、対応する「宇宙可視光背景放射」の測定が難航を極めてきました。 地上あるいは人工衛星から観測を行う場合、地球大気の放射や黄道光が夜でも見かけ上あまりにも明るく、微弱な宇宙空間の明るさを測定するためには致命的な障害となるためです。
名古屋大学の松岡良樹特任助教を中心とする研究グループは、東京大学の研究グループと共同で、米国NASAの惑星探査機パイオニア10号・11号が火星-木星軌道間を飛行中に取得した天文観測データを基に研究を行いました。 黄道光の弱い火星以遠での空の明るさを再現し、そこから天の川銀河の星々と星間塵による放射を取り除くことで、天の川銀河外側に広がる宇宙空間の真の明るさ「宇宙可視光背景放射」の世界初検出を達成しました。 また測定された宇宙の明るさが、ハッブル宇宙望遠鏡による超高精度観測で発見された全ての銀河からの光の総和にほぼ等しいことも同時に突き止められています。 このことは、宇宙に満ちている可視光の起源、言い換えれば「私たちの目に見える宇宙」を、人類がほぼ全て解き明かしてしまったことを示すものと言えます。
詳細について名古屋大学大学院理学研究科のホームページをご覧ください。