2011/3/28

「あかり」が描き出す赤色巨星の塵の衣

発表者

  • 宇宙航空研究開発機構
  • 自然科学研究機構 国立天文台
  • 東京大学大学院理学系研究科

概要

赤外線天文衛星「あかり」が、赤色巨星を取り巻く塵(ダスト)の衣を、これまでにない精度で観測した結果が、欧米の天体物理学の専門誌に相次いで発表されました。 この塵の衣は、太陽のような星の終末の姿である赤色巨星が、自らの物質を放出して作ったもので、その中には、星の内部で作られた炭素などの元素が含まれています。 「あかり」は、地上からは観測できない遠赤外線や、世界で初めての中間赤外線による観測を可能にし、星からの塵やガスの放出が、いつどのように行われたかを克明に描き出しました。 今回の一連の研究は、我々の体や身の回りのものに含まれる炭素などが、どのような仕組みで供給されてきたのかを知るための、重要な手がかりとなっています。

国立天文台、東京大学などの研究者らからなる研究グループ(注1)は、JAXA宇宙科学研究所が2006年2月に打ち上げた日本初の赤外線天文観測衛星「あかり」に搭載された最先端の赤外線観測装置を用いて、「うみへび座U星」ならびに「ポンプ座U星」と呼ばれる、年齢数十億歳の年老いた星(赤色巨星)の観測を行い、これらの星を取り巻く塵の衣(ダストシェル)の構造を、世界で最も詳細に解明しました。

詳細についてJAXA宇宙科学研究所のホームページをご覧ください。

* JAXA宇宙科学研究所が計画停電時には、宇宙科学研究所や「あかり」のサイトはご覧になれません。 ご了承ください。 なお、JAXA宇宙科学研究所は第4グループ(4-D)に属しています。

補足説明

注1
自然科学研究機構 国立天文台(岡山天体物理観測所)、東京大学大学院理学系研究科(天文学専攻、天文学教育研究センター、木曽観測所)、宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所、米国・デンバー大学、東北大学大学院理学研究科、英国・ロンドン大学、群馬県立ぐんま天文台に所属する総計13名からなる研究グループ。