2010/11/15

情報をエネルギーに変換することに成功!

“マックスウェルの悪魔”を実験により世界で初めて実現。新規ナノデバイスの実現に期待。

発表者

  • 宗行 英朗(中央大学理工学部 教授)
  • 鳥谷部 祥一(中央大学理工学部 助教)
  • 佐野 雅己(東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 教授)
  • 上田 正仁(東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 教授)
  • 沙川 貴大(東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 博士課程3年)

概要

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御システムを組み合わせ、「マックスウェルの悪魔」(注1)と呼ばれる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現した。 これによって、情報をエネルギーに変換できることを初めて示すとともに、情報を媒介して駆動する新規ナノデバイスの実現の可能性を示した。 マックスウェルの悪魔は熱力学の根本に関わる概念であり、これを実現できた学問的意義は大きい。 また、科学者以外にもよく知られたテーマであり、多くの人が興味を持つ話題でもある。 情報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可能性があり、基礎的研究にとどまらず、ナノサイエンスでの新しい制御法への応用が期待できる。

詳細について中央大学のホームページをご覧ください。

補足説明

注1: マックスウェルの悪魔
19世紀の大物理学者ジェームズ・マックスウェルが1867年に考えた創造上の生き物。分子の動きを見分けることができ、たとえば温度差のないところからエネルギーを使わず温度差を作り出し仕事をさせることができるとされ、熱力学に根本的な疑問を投げかけた。それから約150年を経て、この疑問は解決されたが、情報とエネルギーの関係を考える多くの研究につながった。