2009/4/22

東京大学大学院理学系研究科初の社会連携講座の開設について

- 革新的な有機薄膜太陽電池の開発に向けて -

発表者

  • 西原 寛(東京大学大学院理学系研究科化学専攻 教授/社会連携講座運営委員会委員長)

概要

東京大学大学院理学系研究科(所在地:東京都文京区、研究科長:山形 俊男、以下「理学系研究科」)は、三菱化学株式会社(本社:東京都港区、社長:小林 喜光、以下「三菱化学」)の協力の下、革新的な有機薄膜太陽電池の開発に向けて、社会連携講座(注1)「光電変換化学講座」を平成21年4月から3年間にわたり開設することといたしました。

近年、地球規模の環境・エネルギー問題がますます深刻化する中、有機薄膜太陽電池はコスト面でも安価であり、かつ環境に対する負荷が小さいクリーンエネルギーを作り出すことができることから、新しいエネルギー源として社会から広く注目されています。しかし、有機薄膜太陽電池には変換効率や寿命など解決すべき課題も多く、有機・無機の合成化学、物性研究、薄膜作成技術、デバイス特性評価解析研究などを取り込んだ重層的な学際領域の研究に基づく、更なるブレークスルーが求められています。本社会連携講座では、有機薄膜太陽電池デバイスの基礎となる光電変換の化学と物理、ナノサイエンスなどに関して体系的な基礎研究を行います。

理学系研究科では、本社会連携講座を担当する新進気鋭の30台半ばの若手の特任教授(松尾 豊 特任教授)を採用し、産学協同研究により新しい有機材料の開発やデバイス動作機構の解明に取り組みます。 また、理学系研究科において社会連携講座の設置は初めての試みであり、「知の創造」から「社会への還元」に繋がる新しい研究教育スタイルを提供することにより、環境・エネルギー問題の解決に向けた化学的アプローチの開拓に意欲を持つ国際的な若手人材の育成を行います。

一方、三菱化学は有機太陽電池を、同社が属する三菱ケミカルホールディングスグループが設定した「7大育成事業」の一つとして極めて重視しており、事業推進室を設置して用途開発に注力するなど、次の成長ドライバーとして早期の事業化を目指しております。 本社会連携講座には株式会社三菱化学科学技術研究センター(注2)より数名の研究員を派遣いたしますが、自社R&Dと、理学系研究科の充実した知的資源を密接にコラボレートさせることによる新たな成果をフルに活用し、有機薄膜太陽電池の開発をいっそう加速できるものと考えております。

用語解説

注1
社会連携講座とは公益性の高い共通課題について、東京大学と共同研究を実施しようとする民間機関等から受け入れる経費等を活用して、学部及び研究科等の教育研究を行う大学院組織等に置かれる講座をいいます。 
注2
株式会社三菱化学科学技術研究センターは、三菱化学グループのR&Dの中核会社です。