概要
理学部紹介冊子
理学系研究科セクシュアル・ハラスメント防止講習会報告
理学系研究科男女共同参画WGは、これまでに活動の一環として、セクシュアル・ハラスメントの意識を向上させるため、研究科におけるセクシュアル・ハラスメント防止講習会の企画を支援してきた。今回、岡村定矩前研究科長の要請を受け、庶務と男女共同参画WGが共同で、第2回理学系研究科セクハラ防止講習会を平成17年3月18日17時より化学講堂で開催した。第1回は昨年5月の教授会の会議中、教授会メンバーを対象にして短時間(30分)行ったが、今回は、助手・ポスドクを主なる対象とし、1.5時間のプログラムを組んだ。出席者総数は119名(物理28名、天文 2、地惑2、化学28、生化 13、生科 21、植物園 1、スペクトル 2、原子核 8、地殻 5、天文研 2、ビッグバン 2、素粒子 1、遺伝子 1、工学系研究科1、事務 2)であり、対象者総数の約1/3の出席率であった。
講習会は,東京大学ハラスメント相談室の丹羽雅代・国中咲枝相談員を講師に迎えて、 “セクシュアル・ハラスメントのないキャンパスに向けて”という主題で行われた。 前半のセクシュアル・ハラスメント防止の基本的な話では, セクシュアル・ハラスメントの起こりやすい場、他大学の具体例、 セクシュアル・ハラスメントの影響などについての話がなされた(講習会レジメ、 前半資料(PowerPoint, PDF)。 後半は新しい試みとして,裁判等を参考にして相談室で作成されたケーススタディについて、 スタッフと学生の健全な関わり方とは何か、当事者や周囲の人等それぞれの立場で何ができるか、 ハラスメント相談室 をどのように利用していくか等の問題を相談員が会場の出席者と対話しながら進めて行われた (“ケーススタディの資料および講習会でのメッセージ”)。 ふだんから風通しの良い人間関係を構築することが、セクシュアル・ハラスメントはもとより、パワー・ハラスメント、アカデミック・ハラスメントを防止するために非常に重要であり、ひいては、本来の責務である科学の発展に貢献する研究の遂行にも繋がっていくことが指摘された。
この講習会について,参加者にアンケート・感想を書いてもらったところ、 次のような意見が出された(アンケート結果)。
「ケーススタディが参考になった。」「もっと「要注意」の事例がほしかった。」「具体例をもっと聞きたい。」「意外な例等についての話が聞きたかった。」「理学部特有な問題を踏まえて理学部の事例に基づいた議論をすると良い。」「被害者にならないための講習が必要。」「ケーススタディについて,学生、院生向けに行えばもっと有効。前半退屈であった。」「ハラスメント相談所は早期に相談を受けると効果があることを強調すべき。」「極端な例を長々と取り上げ時間の無駄。もっと現実的な話,例えば何気ない一言がセクハラになる例などを紹介した方が良い。」「参加者は助手・PDと教授・助教授を分けた方が良い。」「女性から男性へのセクハラも問題である。」「参加者への回答の強要が不愉快。」等。
この結果を見ると、第1回のセクハラ防止講習会よりも大分interactiveで、特に参加者の6割近くが、ケーススタディは参考になったという意見であった。前半部分はやはり冗長であったという意見が目立ち,さらに改善の余地がある。セクハラ防止講習会と言っても、セクハラの予防・解決に果たす役割は、ラボヘッド、助手・ポスドク、学生など、それぞれの立場によって異なっている。理学系研究科としては、将来的には対象を絞った異なるタイプの複数の講習会を定期的に行い、全員が必ず一回は講習を受けることを規則化していきたい。次回は要望の高かった、学生を対象とした講習会を行う予定である。