アメリカと日本の教育
今回の訪問では、Yale滞在二日目の晩に日本人の留学生7人と、Princeton最終日に大学3年生からポスドクの人まで十数人と食事を一緒にする機会があった。特に、Princetonの学部生はちょうど試験期間中であり、直後に試験がある状況で来て頂いたことに、感謝の気持ちばかりである。
Yale / Princeton大学・大学院での生活、日本人留学生の体験談を聞けたので、その話を含めて記しておく。
学部生
研究
理系の学部生で、日本と大きく異なるのは、3年の時点で研究を始めていたことだ。Princetonの物理学科の学部3年の人曰く、3年のうちに、自分の専攻分野で1つ、そして副専攻を選び、その分野でも1つ、研究をすることを求められているという。日本と異なり、研究室所属はしない場合が多いようだ。
授業
2学期制を取っており、秋学期が8月末から12月まで、クリスマス休みを挟み、春学期が1月から5月までとなっている。各学期の中間試験後に2週間程度の秋休み・春休み(イースター休み)がある。私たちが訪問した3月はちょうど春学期の中間試験シーズンに辺り、プリンストン大学は中間試験真最中、イェール大学では試験がちょうど終わった週に辺り、学生がスーツケースを引いて実家に帰る姿を多数見かけた。日本と異なり、一コマ辺りの時間もばらばらで、科目によっては週2-3回行われているものもある。TA (ティーチングアシスタント)の付いている科目が多く、日本のTAと少々性格が異なり、学生はTAのところに気軽に質問に訪れ、質問や、補習を行っている。
生活
大学生はキャンパスの中に設けられた寮に入ることが義務付けられている。寮生活も大学教育の一環と見なされており、キャンパスの半分以上の建物が学部生のための寮になっている。寮の割り振りなどは大学によって異なるが、イェール大学の場合は、学部・学科すべて混合で割り振られていて、多様な人の集まりとなっている。食事も寮で出され、学期中は、キャンパスの中だけで生活が完結するようだ
大学院生
アメリカの大学院の多くは、日本の修士課程2年間 + 博士課程3年間という大学院制度と異なり、5年間の"Ph.D."コースしか存在しない。すなわち、日本でいう博士課程から編入することは出来ず、修士を卒業してから留学しようとしても、Ph.D.コース1年目から5年程度通い直さなければならない。分野によって異なるが、5年間で卒業できるところから、物理系の場合では、6年以上かかるところもあるようだ。もちろん、修士課程で見切りをつけて、就職してしまう人もいる。あまり授業を取らない日本の修士課程と異なり、院生といえどもアメリカでは最初の2年は授業も取りつつ研究を行い、修士課程修了の試験の後に、最後の3年は博士号候補生"Ph.D. candidates"として研究に勤しむ。
大学院生の場合は、寮に入る必要ないが、Princeton大学の場合は、院生用の寮も用意されており、1年目は学生同士の交流のために入ることが推奨されているようだ。自分で家を探す場合、ルームシェアをすることも多く、大学ごとにルームシェア希望者が情報を交換するページも用意されている。相手が悪いと苦労することも多いようだが、その場合は相手をすぐに変えてしまうことも出来るという。
卒業後は、多くの人がポスドクとして就職口を探し、1-2回ポスドクを経験した後に、任期無しのポストを探すようだ。
(宮崎 慶統)