理学部学生選抜国際派遣プログラム

第4回 National University of Singapore (NUS) & Nanyang Technological University (NTU)

感想

小田 秀匡 (Hidemasa ODA)

Singaporeを訪問できてよかった。Singaporeは留学生が滞在するのに優しい場所だった。食事と交通機関は安価で、街は清潔で安全だ。

私は、自分が興味を持っている分野を専門としている教授と会うことができた。私は知識を得て自分の視野を広げた。

日本の大学はもっと留学生を受け入れるべきだ。また、日本の学生は海外に出て視野を広げるべきだ。世界の一流の学生と会うことは大切である。

私はSingaporeの食事が気に入った。Singaporeの食事は多様である:中華料理・Malay料理・Tamil料理・その他。私は日本食に飽き飽きしている。私は Singaporeに戻ってSingapore料理が食べたい。しかも、食事の値段は安い。大学の食堂で昼食を取るのに200円もいらない。

この企画に参加する意義が他にもあった。ESSVAPは、専攻を異にする学生と知り合う良い機会である。私は他のESSVAPの参加者から物理学科の情報を知ることができた。

村上 雄太 (Yuta MURAKAMI)

今回の研修は、自分の初めての(覚えているうちで)海外であった。それだけに、得るものは色々あった。国による教育の違いを身をもって感じたし、世界は思っていたよりずっと広いことを知った。そして、研究は日本だけではないし、将来は必ず世界に雄飛できる人間になりたいと改めて思った。

さて、具体的なお話。特に、シンガポールが日本よりいいと思った点が二つある。まず、人同士の議論の積極性。そこら中の壁に文字を書くことができて、CQTにはQuantum Caféなる議論の場みたいなものがあり、生徒たちが楽しそうに議論しているのが目に付いた。もちろん自分たちも、議論はするが、あまり見かけない気がする。二つ目に、国の研究者への待遇の良さ。シンガポールは未来に向けて大きな投資の真っ最中で、その熱気というものが、教授陣や院生の話を聞いていると伝わってきた。欧米から優秀な研究者を呼び寄せているという点にもそれがうかがえる。前者は、自分たちの問題なので、これからどんどん積極的にそうしていきたいと思う。しかし、後者は今の日本の政治ではどうにもならない気がする。とりあえず、今自分たちにできるのは、将来ぎゃふんと言わせられる研究者を必死に目指すだけと思った。

最後に、まず、ESSVAPの準備や引率でお世話になった、国際交流室の皆様に心からお礼を言いたいと思う。そして、シンガポールでお世話になった人たち、さらに、この旅で、一緒に参加したみんな、色々な話を聞けてとても為になりました。親しくなれてよかった!さらに、疲れた自分を癒してくれた日本食。本当に皆様!お世話になりました!!

川口 喬吾 (Kyogo KAWAGUCHI)

この時期にシンガポールを見学できたことは幸運でした。

特に生命系の研究についていえば、最先端の研究を、いかに産業に結びつけて行くかについて。製薬会社の研究施設誘致などの成果はあるものの、国としての方針は定まりきっていない様子で、様々な立場から伺った意見は大変興味深いものでした。

我々日常を科学の研究に近い所で送る者から見れば、シンガポールの国としての方針、特に大学や研究機関を取り巻く雰囲気は、まさに理想的なものに映りました。教育機関、特に大学や研究所などの高等教育機関から国を作るという発想は、理想論として唱えられることは多くとも、シンガポールほど実践に力を入れている国はないように思えます。今後どういう進展を見せていくのか、非常に楽しみでもあります。

今回の訪問で、学部長、研究科長クラスの方々、パートタイムでシンガポールに呼ばれている方、将来国に帰る予定の方にお話を伺う機会を得ましたが、やはりこの活気を支えているのは、集まってくる人やお金なのではないのかと痛感させられました。もちろん、それらは政府の打ち出す強い方針の結果なのでしょうが、国は国のことを考え、研究者は研究のことを考えるのが普通ですから、そういった方針は必ずしも研究者コミュニティ全体に共有されるものではないでしょう。しかし、あくまで「なんかCQTとかBiopolisはすごかった」と思わせるものをちゃんと作れているという点で、シンガポールという国全体に対して、全く脱帽だなあ、と感じたということです。

とはいえ、ふと見ればいつも壊すか作るかしているビル工事や、不思議な英語に入り混じる様々な言葉、首をかしげたくなるような「近代的な」デザインのショッピングモールなど、単に他国であること以上に異質な雰囲気は、少し怖くもありました。その上にどんどんと積みあがっていくのが、他の何者でもない「基礎科学」であるという構造が、さらに消化しきれないのですが。そんな違和感はなかったことにされるような小さい国、ということなのでしょうか、いつかシンガポールで働いてみたい気分になりました。

最後になりましたが、国際交流室のみなさん、参加メンバーの皆さんには大変お世話になりました。この場を借りて感謝申し上げます。

山中 一宏 (Kazuhiro YAMANAKA)

毎年新聞や雑誌を賑わすランク付けなどを見ると、昨年や一昨年のESSVAPの訪問先である諸大学に比べ、今回訪問した南洋理工大学とシンガポール国立大学は少し後れをとっていることは事実かもしれません。しかし、今回のシンガポール訪問はそれらのトップオブトップの大学を訪問するのとはまた違った意味で、しかしそれらの大学の訪問と同等以上に学ぶものの多い見学になったように思います。

物理学の分野に特化して述べると、日本の大学とシンガポールの大学との違いは大きく二つあると思います。1つめは、シンガポールの大学は研究分野が限られているということです。シンガポールでは多くの研究がいわゆる物性分野に属するもので、素粒子物理や宇宙物理の研究はほとんどなされていません。これはシンガポールが比較的新しい国であることもあって、そのような伝統、基盤といったものがなかったことに起因していると思います。素粒子物理学や宇宙物理に必要な加速器や巨大望遠鏡の建設には高額の投資が必要で,科学の進歩につれて,より高額の実験設備が必要になる傾向にあります。2つめはシンガポールの方が国際化が進んでいるということです。日本の大学では留学生の数も少ないですし、研究スタッフも多くは日本人です。国際的なことに加えて、研究室間の垣根が低いということも感じました。これは、昨年のESSVAPに参加されていた方も言及されていたことなので、おそらく、シンガポールの状況が世界的にはスタンダードに近いのではないでしょうか。日本における現状をどうするべきかという判断は保留するにせよ、今回の訪問では日本の特殊性を認識するとともに、少なくとも個人のレベルでは今後も積極的にさまざまなバックグラウンドを持つ方々と交流していきたいという思いを新たにしました。

個人的に感銘を受けたのはVlatko Vedral氏をIndividual visitで訪問させていただいたときのことです。Vedral氏は量子情報理論の専門家で、われわれが訪問した時には氏とそのほか数人の研究者による議論の場に参加(見学?)させていただく機会を持ちました。私自身は、実験を専攻する予定なこともあり、そのような理論家同士の議論の場に参加させていただいたのは初めてでした。理論の詳細についてはついていけなかったというのが正直なところでしたが、新しい理論の枠組みを作るという過程をほんのわずかながらも肌で感じられたのは非常に刺激的なことでした。

上に挙げたのはほんの一例にすぎませんが、欧米の大学よりも身近に感じられるシンガポールを訪問したことによって、自らを省みる機会が多くありました。この報告書でその成果をご報告するとともに、今後の学生生活やその先でこの経験を活かしていきたいと思います。

鈴木 博人 (Hakuto SUZUKI)

  • シンガポールの住み易さはアジアトップクラス。(食は豊富、町は清潔、英語通じる)
  • シンガポール政府の国策が学問に反映。政治家はclever。(学問に投資できる貯金あり)
  • 多様な民族がいるのが世界的には普通。(民族的、宗教的)
  • 海外に出て自分を磨かないといけない。(語学力、表現力、ディスカッション力etc)
  • 基礎を固められるのは学部のうち。(反省も込めて)
  • 英語を話せないのは日本人だけ。(留学生も本当に上手い。訓練が必要・・・)
  • 専門にとらわれず幅広く勉強する。(テーマが変わることもある。)
  • 日本の研究レベルが高いことも再認識。(T先生が幾度となく話題に上った)
  • ESSVAP最高!(シンガポールは新たな発見が多かった!)

一緒に行った10人の仲間、国際交流室の五所さん、濱田さんに心から感謝します。

大槻 知貴 (Tomoki OTSUKI)

とても充実した9日間でした。仲間たちとの会話は笑いが絶えず、参加者の中での分野を超えた交流、というESSVAPの一つの目的は達成できたと感じています。ですが、国際交流に貢献できたか?と聞かれると、自分はあまり出来ていなかったなぁというのが正直なところです。興味のある分野が被っていそうな学生とは話も弾んだのですが、そうでもない人と話を繋ぐのは恥ずかしながら難しいところがありました。旅を通じてとにかく英語の壁ということを痛感したし、現地で活躍する日本人の方々からも、英語を若いうちに身につけておいて欲しいと重ねて言われたのも印象的でありました。

シンガポールの2つの大学については、まだまだ発展途上なのかなと思う部分も多かったのですが、「まず完成された研究者をそとから引っ張ってくる」というシンガポール政府の姿勢はとても新鮮で、日本にはないものであると思います。シンガポール政府の要求に適う研究者に対する支援の手厚さは素晴らしいものだと感じました。反面、やはり純粋に学術的な研究をしている人に対する厳しさというのはどこの国でも同じだなぁということも痛感させられました。

今回の12人でシンガポールを訪れることができたのは本当に一生ものの思い出です。引率の濱田さんは食事や交通手段の手配などで本当にお世話になったし、常に我々の体調を気遣ってくださいました。象に乗るという滅多に出来ない経験ができたのも濱田さんのお陰です。濱田式英語学習法で僕もリスニング能力をアップさせます!!また飲みましょう(笑)

このプログラムに参加させて頂けた理学部の先生方、引率の濱田さん、そして僕の不手際で数々のご迷惑をおかけした国際交流室の五所さん、そして現地でお世話になった方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

釋 宏介 (Kosuke SHAKU)

このプログラムを通じて、科学への取り組み方について多くを学ぶことができました。自分の専攻する天文学や宇宙物理という分野はシンガポールではあまり活発に行われてはいませんが、学んだ考え方はこれからの研究に役立つと確信しています。また、シンガポールの科学技術に対する行動的な政策にも、驚きました。日本に直接応用はできないでしょうが、見習うべきところがあると思います。

最後に、国際交流室を始め、色々なお方の助けなしには、今回の訪問は成功裏に終わることはありませんでした。深く深く、感謝しております。

福嶋 彩香 (Ayaka FUKUSHIMA)

シンガポールでは、自分が思っていた以上に多方面で貴重な経験をすることができました。

学問
  • 卒業研究のテーマが「東南アジアの気候変動」であった私にとって、東南アジアにおける災害研究を広く行なっているEarth Observatory of Singaporeを訪問できたのは、今後の研究を模索するいい機会だった。
  • 初めての研究である卒業研究について、わずかながらも教授方と英語で議論し、助言をいただくことができた。
  • 他学科の最先端の研究を垣間見ることができた(他学科の参加者に、自分のレベルに焼き直して説明してもらいつつ)。
教育・研究
  • 特殊な教育・研究環境を持つシンガポールに身を置くことで、日本の教育・研究環境における課題や問題点が改めて浮き彫りになった(シンガポールが特殊だと言ったが、世界的に見ると日本の方が特殊)。
  • 大学1年生の段階から研究を始めるなど現地の学生(多くが留学生)の志が高く、刺激された。
コミュニケーション
  • シンガポールの大学で出会った研究者や学生の方々はあたたかく私たちを迎え入れてくれ、つたない英語でも熱心に耳を傾けて交流してくれた。
  • 他学科の参加者と非常に仲良くなり、今後も続くであろう友情ができた(本郷に進学すると、学部・学科間の交流が減ってしまう現状を改善したい)。
  • 大学やレストランにおいて、教養学部で学んだインドネシア語・マレー語でコミュニケーションをとる機会が持てた。
趣味
  • 音楽(マリンバ)を専攻する日本人留学生と出会えた(マリンバは私の最大の趣味)。彼女は日本の高校を卒業し、単身でシンガポールに渡り、NUSに入学。現在はプロの演奏家を目指し、アメリカの大学院に進学予定。日本人は外に出たがらないと言われるが、このようなアクティブな日本人もいる。
  • 彼女に音楽学部に連れていってもらい、マリンバを弾かせてもらうことができた。
  • 趣味がマリンバだというと、意外と教授や学生の反応がよく、コミュニケーションを潤滑にさせてくれた。

まだまだ書きたいことは沢山ありますが、今回学んだことは、今後の人生に活かし、また将来的に様々な形で還元していければと思います。

今回のプログラムの成功は、東京大学およびシンガポールの大学・機関のご協力あってのものです。特に理学部国際交流室の五所さん、引率の濱田さん、暖かく迎え入れてくれたシンガポールの皆様、そして、ESSVAP参加者10人に感謝申し上げます。

中村 淳路 (Atsunori NAKAMURA)

今回、ESSVAPでシンガポールを訪問できたことを嬉しく思う。予想以上に様々な経験ができた。個別に先生を訪問する "individual visit" では南洋理工大学で4人、シンガポール国立大で1人の先生を訪問でき、貴重な経験となった。具体的な研究の話はもちろん、研究に対する姿勢や考え方にふれることができたことがとても刺激的だった。

また、地球惑星環境学科で古気候を卒論のテーマにしていた私にとって、シンガポール訪問は特別な意味があった。地球の気候システムのエンジンと言われる熱帯に初めて行けるということで興奮していた。実際に目にした体験を今後の研究に役立てたいと思う。

このプログラムを支えてくださったすべての方々に感謝します。特にESSVAPのメンバーの皆様に感謝します。普段の本郷の生活では他学科の人と知り合うことはあまりないので、勉強している分野が異なる友人ができる素晴らしい機会だった。最後に、国際交流室の濱田さん、五所さんに感謝いたします。

吉清 まりえ (Marie YOSHIKIYO)

このプログラムは想像していたよりもはるかに盛りだくさんで本当に充実していた。

まず出発前の準備だが、外国の会ったこともない研究者に自力でコンタクトをとり、個人訪問のアポイントメントをとるという作業を通して、様々なことに対して積極的に行動できるようになってきた気がする。

そして現地で過ごした9日間は本当に濃い時間となった。東京大学での生活が当たり前になっていた私にとって、海外で実際に研究環境を見学したり現地の大学生に触れたりすることで、私たちが送っているような大学生活は決して当たり前ではなく、世界にはいろいろな大学生活・研究生活があるのだということを、実感をもって確認することができたことは大きかった。これからのキャリアのどこかで、世界を知るためだけではなく、逆に日本を知るためにも海外に行きたいと思った。また、英語の大切さを痛感した。シンガポールには世界中から研究者や学生が集まっており、その多くにとって英語は外国語である。しかし教育や研究はすべて英語であり、外国語としてではあっても英語を使いこなせるように鍛えられていたという印象をもった。世界の中で戦っていくのだという意識をもつようになったと同時に、英語がなかなか話せるようにならない日本での教育についても考えさせられた。

このプログラムは個人に任されていた部分が大きく、出発前は不安もあったが、実際にこなしてみると非常に良い経験となった。個人訪問ではキャンパスを一人で歩きまわり研究室を探し、終わってからは自力でバスと電車を乗りついでホテルまで帰った。自由時間には、地元の人々が買い物をする市場を歩き回ったり、街の屋台でご飯を食べたり、ときには英語が通じないこともあった。これらを通して実際のシンガポールでの暮らしに触れることができ、本当に貴重な体験となった。

そしてこのプログラムで宝物となったのは、違う学科の学生たちと非常に仲良くなれたことである。普段とは違う視点からの意見を聞くことができ、またそれぞれの分野の魅力を知ることができた。今回の見学でも、様々な分野の背景をもった研究者が一緒になって取り組んでいる現場を多く見たので、この経験はこの先必ず重要さを増すと思う。今回のメンバーとはこの先もずっと交流をしていきたい。

そして最後に、国際交流室のスタッフの方々、訪問に協力してくださった先生方と学生の皆さん、10人のESSVAPメンバー、そして引率してくださった濱田さんに感謝するとともに、この経験をこれからの生活に活かしていきたいと思う。

馬谷 千恵 (Chie UMATANI)

このプログラムでは、ここには書ききれないほどの体験をし、刺激になりました。これが読者の方に伝わるよう、シンガポールに行って特に実感したことをここに書いて感想とさせていただきます。

  • シンガポールでは至る所に政府の意図が感じられる。(海外から人が来るようにペンキを何度も塗りなおしてみた目を綺麗にする、観光者向けと現地人向けの施設を分けて値段設定を変えているなど。)
  • 新しく建てられた研究所は欧米と似た雰囲気がある。
  • 実験動物や実験試薬の法律による制限が厳しい。
  • 海外の研究者や学生を積極的に受け入れようとしている。

単なる訪問者である私たち学生も親切にしてくださり、温かく迎えてくださったシンガポールでお会いした方々に感謝します。また、一緒に過ごした10人と、マイペースな私たちを引率してくださった濱田さんに感謝します。

BIOPOLISにて