2020/12/17

生物科学専攻の金 尚宏特任助教がサントリー生命科学財団による生命科学研究者支援プログラム「サントリーSunRiSE」に採択されました

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金 尚宏特任助教


本研究科生物科学専攻の金 尚宏 (こん なおひろ) 特任助教が、公益財団法人 サントリー生命科学財団による生命科学研究者支援プログラム「サントリーSunRiSE」に採択されました。本プログラムは、若手の生命科学研究者が将来ノーベル賞を狙えるような挑戦的なテーマに取り組むことを支援するものです。

金氏は睡眠・覚醒など、約一日周期のリズム(概日リズム)を生み出す概日時計という体内時計の分子メカニズムの研究をしています。概日リズムは、時計遺伝子による転写・翻訳を介した負のフィードバック機構に基づくと考えられており、米国の3人の生命科学者によるショウジョウバエの時計遺伝子Periodの発見と振動機構の同定には2017年のノーベル生理学・医学賞が授与されました。その後、多くの生物種から時計遺伝子が同定されましたが、その配列相同性は動物や植物、細菌の間で限定的であることから、概日時計は生物界ごとに独立に進化したと考えられていました。このような背景において金氏は、細胞内Ca2+制御因子が生物種を超えて普遍的に機能する概日時計分子である可能性を見出しました。現在の生物の概日時計は祖先的な共通の振動機構を基に進化したと考えられますので、今後、金氏が本研究をさらに発展させることにより、生命に共通した時計機構の理解が大きく進展すると考えられます。このたびの研究課題の採択をお祝い申し上げますとともに、ますますのご発展を期待しております。 

サントリー生命科学財団「サントリーSunRiSE」
https://www.suntory.co.jp/company/csr/highlight/202012_109.html

(文責:生物科学専攻 教授 深田吉孝)




―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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