2020/11/25

飯野雄一教授が2020年度日本動物学会賞を受賞

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飯野雄一教授


本研究科生物科学専攻の飯野雄一教授が、2020年9月4〜5日に開催された日本動物学会第91回大会において動物学会賞を受賞されました。本賞は学術上有益で動物学の進歩発展に重要な貢献をなす業績をあげた研究者に贈られるもので、受賞対象となった研究テーマは「線虫の化学物質への応答行動を制御する分子機構と神経回路機構の解明」です。今年度の日本動物学会大会は感染症の拡大に伴いオンラインでの開催となりました。受賞式では岡良隆会長による「エアー」での賞状贈呈ののち、飯野教授より画面を隔てての受賞講演が行われました。

飯野教授が研究に用いた線虫(C.エレガンス)は、全神経に名前がつけられ、その回路がすべて既知という有用な研究材料です。受賞研究では、多くの行動変異体を単離し、その神経回路や関与するシグナル系を特定することにより、動物の神経系の働きと分子機構の解明に大きく貢献されました。飯野教授は特に、インスリンが線虫の飢餓による学習を仲介して行動を変化させるシグナル機構を発見されました。さらにこれらの分子と神経細胞の活動や行動の関係を解明し、新たな行動機構を見つけられました。

受賞講演では、線虫の頭にある全ての神経細胞の活動を観測し神経ネットワークの動作を記載する最新の研究にも触れられ、多面的なアプローチにより行動の仕組みを明らかにする現在進行形の研究が印象的でした。飯野教授のご研究の益々のご発展を祈念申し上げます。

2020年度日本動物学会賞
https://www.zoology.or.jp/news/zsj-award-2020

(文責:生物科学専攻 教授 深田吉孝)




―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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