DATE2020.04.10 #受賞・表彰
藤井通子准教授が令和2年度文部科学大臣表彰若手科学賞を受賞

藤井通子准教授
天文学専攻の藤井通子准教授が、令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞されました。授賞対象は「重力多体計算を用いた星団と銀河の力学的進化の研究」です。
藤井さんは、星団や銀河など、重力多体系と呼ばれる多数の星が互いの重力で束縛されてできている天体の力学的進化について、スーパーコンピュータを使用した大規模数値シミュレーションを駆使して研究してきました。星団や銀河は数千から数百憶個以上の星から成り、その力学的進化を追う重力多体計算では、その星一つ一つに軌道を数値積分によって求めることで、系全体の進化を明らかにします。その計算量は星の数の二乗で増加します。そのため、実際の天体の中の星一つ一つを再現してシミュレーションを行うためには、数値計算アルゴリズムの発展も重要となります。
藤井さんは、惑星形成シミュレーションで用いられる、太陽からの重力と惑星間の重力を分けて数値積分する手法を発展させ、星団中の星の運動と星団を取り巻く銀河の星の運動を分けて数値積分する新しい手法を開発しました。さらにその新規開発の手法を用い、銀河中での星団の進化、銀河の渦状碗の力学、星団の形成過程における力学進化の解明と幅広い分野で成果を挙げてきました。
今年度からは、日本の新しいスーパーコンピュータ「富岳」を用いての研究も始まります。今後、ますますの活躍を期待しています。
令和2年度文部科学大臣表彰
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00187.html
(文責:天文学専攻 教授 戸谷友則)