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笠原慧准教授が令和2年度文部科学大臣表彰若手科学賞を受賞

笠原慧准教授
地球惑星科学専攻の笠原慧准教授が、令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞されました。受賞対象は「非熱的粒子の直接観測に基づくジオスペースプラズマの研究」です。
地球を取り巻く宇宙空間のプラズマは、1粒子あたりのエネルギーがエレクトロンボルト(eV)からメガエレクトロンボルト(MeV)と広範囲に及びますが、10-200キロエレクトロンボルト(keV)の中間エネルギー帯の観測はほとんどされていませんでした。笠原博士は、この中間エネルギー帯の粒子を、独自のアイデアにより、高角度分解能・低雑音で観測する新しい技術を確立しました。そしてジオスペース探査衛星あらせに搭載し、数秒から10秒で明滅するオーロラの生成機構を解明しました。このオーロラは、「コーラス波動」と呼ばれる電磁波動によって散乱された電子が、地球大気に降込むことによって発光することが理論的に予想されていましたが、これまで観測による実証には至っていませんでした。笠原博士は、無衝突系プラズマを支配する最も基本的かつ重要である、この粒子と波動の相互作用を直接観測(in-situ)で実証し、世界中の研究者を驚かせました。この成果は、非熱的粒子の加速・消失過程の核心に迫るとともに、宇宙プラズマ研究に新たな展開をもたらすと期待されています。詳細は2018年理学系研究科プレスリリース
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2018/5768/
をご参照ください。今後の益々のご活躍を期待しています。
令和2年度文部科学大臣表彰
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00187.html
(文責:地球惑星科学専攻 教授 星野真弘)
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―