2020/01/15

生物科学専攻の西増弘志准教授が第16回日本学士院学術奨励賞を受賞

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西増弘志准教授


このたび西増弘志准教授が第16回(令和元年度)日本学士院学術奨励賞を受賞されました。おめでとうございます。RNA依存性DNA切断酵素Cas9はガイドRNAと複合体を形成し、標的DNAを特異的に切断します。Cas9を用いたゲノム編集技術は生命科学の基礎研究から動植物の品種改良や遺伝子治療といった応用研究に至る様々な分野において広く利用されています。西増氏は、Cas9-ガイドRNA-標的DNA複合体の結晶構造を決定し、Cas9が標的DNAを切断する仕組みを世界に先駆け解明しました。さらに、様々な細菌に由来するCas9、および、Cas9とは異なるゲノム編集ツールとして注目されているCas12の結晶構造を相次いで決定し、Casタンパク質の多様な作動機構を原子レベルで解明しました。また、分子構造に基づき新規の転写活性化ツールや適用範囲の拡張したCas9改変体の開発にも成功しました。西増氏の解明した構造情報はゲノム編集技術の理解および改良に大きく貢献してきました。

第16回(令和元年度)日本学士院学術奨励賞
https://www.japan-acad.go.jp/japanese/news/2020/011401.html


(文責:生物科学専攻 教授 濡木理)

 

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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