2019/03/18

永嶺謙忠名誉教授が日本学士院賞を受賞

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永嶺謙忠名誉教授


本研究科名誉教授の永嶺謙忠先生が、日本学士院賞を受賞されることが決まりました。

永嶺先生は本研究科物理学専攻で学位を取得され、本学工学部助手、同理学部助手を経て、1978年から1996年まで助教授、教授として1997年からは高エネルギー加速器研究機構教授として在職されました。この間一貫して素粒子ミュオンを用いた様々な科学研究の創始・開発・完成に寄与してこられました。電子と同様の素粒子で、200倍の質量と、寿命が2.2μsというミュオンの性質を生かした、素粒子から物質科学、さらに学際的科学にわたる幅広い領域での研究を開拓されています。本受賞の「ミュオンラジオグラフィーの開拓と大規模構造体の非破壊的研究」では、水平近くに飛来する高エネルギーの宇宙線ミュオンを用いたラジオグラフィー法を創始され、地球規模の巨大物体の内部構造の探索を可能にしたものです。火山体の活動状況の経時変化をオンライン透過像で知ることに成功されました。さらに、福島第一原子力発電所の重損傷事故における溶融燃料棒の探索等にも貢献されています。

先生は現在もミュオン科学を先導されており、今後もますますご活躍されることを祈念いたします。このたびはご受賞、誠におめでとうございます。

日本学士院賞
http://www.japan-acad.go.jp/japanese/news/2019/031201.html

(文責:附属原子核科学研究センター センター長、教授  下浦享)

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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