2018/12/17

赤外線天文衛星「あかり」、小惑星に水を発見

 

― 小惑星の進化過程に赤外線観測で迫る:リュウグウなど始原的小惑星を理解する大きな手がかりに ―

 

神戸大学大学院理学研究科

宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所

東京大学大学院理学系研究科

 

概要

神戸大学大学院理学研究科 惑星科学研究センターの臼井文彦 特命助教、宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所の長谷川直 主任研究開発員、大坪貴文 宇宙航空プロジェクト研究員、東京大学大学院理学系研究科 天文学専攻の尾中敬名誉教授らの研究グループは、赤外線天文衛星「あかり」を用いて近赤外線で小惑星の観測を行い、地上の天文台からは観測できない波長2.7マイクロメートル付近にある含水鉱物の存在を示す特徴を、数多くの小惑星について世界で初めて捉えることに成功しました。得られたデータの詳しい解析から、リュウグウと同じC型小惑星の進化の過程を明らかにしました。本研究によって、太陽系の水の分布や小惑星の起源と進化だけでなく、地球の水や生命の起源への理解も進むと期待されます。

 

図. 「あかり」で得られた小惑星の近赤外線反射スペクトル。
C型小惑星とS型小惑星それぞれ6天体ずつの例を示す(データが重ならないように天体ごとに縦方向に平行移動してプロットしている)。波長2.7マイクロメートル付近(緑矢印の位置)に含水鉱物に起因する吸収の特徴が見られる。また、波長3.1マイクロメートル付近(青矢印の位置)には、氷やアンモニア化物など他の物質の存在の特徴が見られる。この図に示しているデータは、観測されたスペクトルから、小惑星がどのくらいの割合で太陽光を反射しているか(反射スペクトル)を求めてプロットしたものである。

 

この研究成果は、12月17日に「Publications of the Astronomical Society of Japan」のAdvance Access(早期公開)として電子版に掲載されました。

 

詳細については、神戸大学宇宙科学研究所(JAXA) のホームページをご覧ください。

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

  • このエントリーをはてなブックマークに追加