2018/10/02

長田敏行名誉教授が2018年度日本植物学会賞大賞受賞

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長田敏行名誉教授


生物科学専攻の教授をつとめられた長田敏行名誉教授が、日本植物学会賞大賞を受賞されました。こころよりお祝い申し上げます。

長田教授は、植物生理学・植物細胞工学分野において、植物科学の発展に貢献してこられました。特筆すべき業績は、葉の細胞のプロトプラスト(細胞壁をもたない細胞)調製法を確立し、1個のプロトプラストからの植物体再生に世界で最初に成功したことです。これは植物の細胞が分化全能性を示すことを実証した研究としても有名です。プロトプラストには細胞工学手法の適用が容易なので、この調製法の確立はこの分野の発展に大きく寄与しました。また、タバコの培養細胞(BY-2)の高度な同調系を開発されました。この系を用いてご自身の研究を推進するとともに、それを広く普及することにより植物の細胞周期や細胞生物学に関する研究を大きく発展させました。専門書も多数編集・執筆されました。またこの分野の研究者のバイブルとなった「プロトプラストの遺伝工学」、「植物プロトプラストの細胞工学」、「植物の遺伝子発現」、「細胞工学の基礎」などの教科書・技術書をタイムリーに刊行されました。これらの業績により、長田教授は、これまでにアレキサンダー・フォン・フンボルト研究賞(1998)などの種々の賞を受賞されました。また、ヨーロッパ分子生物学研究機構(EMBO)の会員にも選出されました(1999)。最近も、科学史に関する研究やイチョウの研究を進めておられます。今後のますますのご健康とご活躍をお祈りします。

日本植物学会賞大賞
http://bsj.or.jp/jpn/members/information/3015.php


(文責:生物科学専攻 教授 寺島一郎)

 

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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