2018/08/30

日本で最も古くから研究されてきた相模湾からナマコの新種を4種発見

 

東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所

概要

東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所の研究グループは、海洋生物の研究の歴史が非常に長く、140年の長期にわたって調査されてきた世界的にも稀な海域である相模湾から、4新種を含む7種類のナマコ類を報告しました。日本では、外国により実施された1873〜1876年の "CHALLENGER" 調査、1906年の "ALBATROSS" 調査によって、沖合産のナマコに関する研究が促進されましたが、それ以降は小規模な調査しか行われていません。その結果、沖合産のナマコに関する分類学的研究は、日本での進展が遅く、特に樹手目に属するナマコ類では、分類学的研究に不可欠な触手や石灰質環などの内臓を自己切断することが容易であるため、研究は進んでいませんでした。しかし、近年、東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所所有の調査船臨海丸(17 t)により相模湾の三崎沖合いの水深100 m前後でドレッジを用いて活発な調査が行われるようになり、採集された標本は直ちにデジタルカメラで生存状態の色彩を記録した後に良好な標本として保存されるようになりました。このことが日本の沖合産の海洋生物の分類学の大きな前進に繋がるようになりました。

今回の研究成果は、このような前進が顕著な例の一つであるといえます。今後も臨海実験所を拠点として、同じ海域で何度も調査を進めることで、今回のような新発見が得られることが期待されます。

 


図:今回報告したナマコ類。
A:オキナグミモドキAmphicyclus japonicus
B:新種 キイログミモドキ Neocucumis misakiensis
C:新種 ミサキグミモドキ Pseudocolochirus misakiensis
D:カワラキンコ Hemiocnus tegulata
E:新種 ムラサキホネナシナマコ Lipotrapeza purpurata
F:新種 スベスベゴカクナマコ Pentamera misakiensis
G:オオシマゴカクナマコ Pseudoplacothuria ohshimai

 

この研究成果はニュージーランドの動物分類学誌「ズータクサ(Zootaxa)」に2018年8月3日付で掲載されました。

<発表雑誌情報>
雑誌名:Zootaxa
論文タイトル:Dendrochirotid holothurians (Echinodermata: Holothuroidea: Dendrochirotida) including four new species, from off Misaki, Japan
著者: 山名祐介(和歌山県立自然博物館)、幸塚久典(東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所)
論文へのリンク:
 DOI番号:10.11646/zootaxa.4455.3.2
 論文URL:http://www.mapress.com/j/zt/

 

理学系研究科附属臨海実験所ホームページ

 

 

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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