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2018/08/28
植物の水の通り道を自在に制御する
国立遺伝学研究所
東京大学大学院理学系研究科
理化学研究所
概要
植物の細胞壁は、その沈着の仕方によって、細胞の形、さらには葉や茎、果実といった器官の大きさや硬さといった性質に影響します。道管において、この細胞壁の沈着の仕方に影響するのが、細胞壁の「壁孔」と呼ばれる直径数ミクロンの水を通す無数の穴なのです。
情報・システム研究機構国立遺伝学研究所、東京大学大学院理学系研究科、理化学研究所、京都大学の共同研究グループは、遺伝学的な手法と「反応拡散モデル」と呼ばれる数学的な手法を組み合わせて、道管に壁孔が作り出される仕組みを明らかにしました。
この知見を利用することにより、道管をはじめとする植物の細胞の細胞壁の沈着の仕方を自在に操り、植物の大きさや硬さ等の性質を人為的に制御できるようになる可能性があります。
(A) 植物の水輸送:
(左)植物の根から吸水された水は道管を通って葉まで輸送される。葉では水が蒸散により失われ、さらに水が引き上げられる。
(中央)道管の内部を輸送される水は壁孔を通じて道管間を移動する。壁孔の薄い細胞壁を水が通り抜けることができる。
(B) ROP11のはたらきを調節することより細胞壁の壁孔の数が決まる 細胞内のROPGEFとROPGAPの量により、活性型ROP11のスポットを作る数やその間隔が制御される。その結果として壁孔の数が決まる。
本研究成果は、米国電子ジャーナル Scientific Reports に平成30年8月1日(グリニッジ標準時)に掲載されました。
詳細については、国立遺伝学研究所 のホームページをご覧ください。
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―