2018/06/07

もっとも重い素粒子であるトップクォークの質量起源もヒッグス機構と判明

 

高エネルギー加速器研究機構

東京大学

ATLAS日本グループ

 

概要

本成果は、欧州合同原子核研究機関 (CERN) が6月4日午後2時 (現地時間)、大型ハドロン衝突型加速器 (LHC) で行われた実験の成果を、プレスリリースしました。本プレスリリースは、この日本語バージョンで、LHCのATLAS測定器で実験を行うアトラス日本グループの主要メンバーであるKEK、東京大学が主体となり、情報提供するものです。

CERNのプレスリリースは、「もっとも重い素粒子であるトップクォークとヒッグス粒子が相互作用していることが、ATLAS実験などのデータから裏付けられた」という内容です。具体的には、ヒッグス粒子がトップクォークのペアと一緒に生成されるという、極めて稀にしか起きない反応を、6.3σの統計的精度で捉えることができました。この反応が起こる確率は、現在の統計量ではヒッグス機構の予想と一致しています。最も重く、他の素粒子と比べて数桁も大きな質量をもつトップクォークの質量も同機構で生成されていることを示唆し、力を伝える素粒子ばかりでなく、物質を形作る素粒子の質量の起源もヒッグス機構だったことが分かり、ヒッグス機構の全貌解明に向けた大きなマイルストーンです。

ATLAS 実験は38カ国、3000人の研究者が参加する大プロジェクトですが、日本でも17機関、約150人の研究者・大学院生が参加して、素粒子物理学の標準理論を超える新しい物理の発見を目指しています。今回の成果についても、ATLAS実験に参加する国内外の研究者による複数の論文として発表されています。

本研究は、ATLAS日本グループ共同代表の、物理学専攻 浅井 祥仁 教授(東京大学素粒子物理国際研究センター長)らのグループおよび素粒子物理国際研究センターのメンバーが参加しています。

 

【CERNのプレスリリース情報】
CERN Press Release
Title: The Higgs boson reveals its affinity for the top quark

【ATLAS Collaborationからのコメント】
ATLAS Press Statement
Title: “ATLAS observes direct interaction of Higgs boson with top quark”

 

図:素粒子の紹介図

 

ATLAS日本グループ
高エネルギー加速器研究機構、筑波大学、東京大学、お茶の水女子大学、早稲田大学、東京工業大学、首都大学東京、信州大学、名古屋大学、京都大学、京都教育大学、大阪大学、神戸大学、岡山大学、広島工業大学、九州大学、長崎総合科学大学、以上の17大学、約150人の研究者(大学院生を含む)からなります。

詳細については、東京大学素粒子物理国際研究センター のホームページをご覧ください。

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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