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ニュートリノや宇宙プラズマのシミュレーション精度が飛躍的に向上
-ブラソフ方程式の高精度数値解法を開発-
国立大学法人 筑波大学
国立研究開発法人 海洋研究開発機構
国立大学法人 東京大学大学院理学系研究科/
国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構
概要
筑波大学計算科学研究センター 田中 賢研究員、吉川耕司講師、海洋研究開発機構 簑島 敬研究員、東京大学大学院理学系研究科/国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 吉田直紀教授らは、ニュートリノや宇宙プラズマの運動を記述する基礎方程式「ブラソフ方程式」の高精度数値解法を開発しました。
ブラソフ方程式は、宇宙に広がる様々な粒子の運動を記述する重要な方程式です。ところが、ブラソフ方程式を用いたコンピュータ・シミュレーションには莫大なメモリ量が必要で、3次元空間での実行は不可能と考えられてきました。今回、高精度数値解法を開発したことにより、現実的なメモリ量でシミュレーションの精度を飛躍的に向上させることができます。
この研究成果は、2017 年11月10日発行の天文学論文誌「The Astrophysical Journal」に掲載されました。
本研究は、文部科学省ポスト「京」重点課題9 「宇宙の基本法則と進化の解明」、 および計算基礎科学連携拠点(JICFuS)の元で、 理化学研究所のスーパーコンピュータ「京」 (課題番号:hp160212、hp170231) 及びHPCIシステム利用研究課題で最先端共同HPC基盤施設のOakforest-PACS (課題番号:hp170123)を利用して得られたものです。
図:一様な密度をもつ物質が自身の重力で収縮する様子
ブラソフ方程式の数値シミュレーションを用いて計算した。位置と速度の2次元の位相空間における物質密度を表している。各パネルで赤色から白色にかけて物質密度が高くなっている。1段目が三次精度の数値解法を用いた場合の結果で、2段目、3段目はそれぞれ五次精度、七次精度の数値解法を用いた場合の結果。
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―