2017/11/08

東京大学次世代ニュートリノ科学連携研究機構発足式を開催いたしました。

 

東京大学次世代ニュートリノ科学連携研究機構

 

東京大学は、平成29年10月1日、宇宙線研究所、カブリ数物連携宇宙研究機構、大学院理学系研究科の連携により、次世代ニュートリノ科学連携研究機構を創設致しました。次世代ニュートリノ科学連携研究機構は、ニュートリノ研究や実験技術開発を通し、本研究分野の未来開拓を行うものです。

本機構の創設に伴い、平成29年11月8日(水)午後12:00より、東京大学宇宙線研究所附属神岡宇宙素粒子研究施設にて発足式を開催いたしました。

※発足式の詳細は、次世代ニュートリノ科学研究連携機構のホームページをご覧ください。

計画概要

東京大学宇宙線研究所が国際協力により推進してきた大型水チェレンコフ装置実験「スーパーカミオカンデ」は、ノーベル物理学賞につながる素粒子ニュートリノの質量の発見を成し遂げ、基礎科学としての素粒子物理学及び宇宙素粒子物理学を牽引してきました。一方で、ニュートリノが他の素粒子に比べて100万倍以上軽い理由や、宇宙が現在の姿になった原因がニュートリの性質にある可能性など、深淵な謎が新たに生まれています。ニュートリノ研究は次世代の素粒子・宇宙物理学への突破口として世界的に大きな関心を集めており、次期基幹実験「ハイパーカミオカンデ」の早期実現が世界中の研究者により求められています。

ハイパーカミオカンデ計画は世界15か国の研究者が参加している国際共同実験構想であり、東京大学と高エネルギー加速器研究機構を中核機関とし、日本が誇る高い実験技術を用いることによりスーパーカミオカンデの10倍規模となる超大型検出器(図1)を設置し、1.3MWに増強した大強度陽子加速器J-PARCによるニュートリノビームを組み合わせるものです。

 

図1 ハイパーカミオカンデ装置の概念図

 

岐阜県飛騨市神岡町のスーパーカミオカンデから南に約8 km(J-PARCから295 km)、地下650 mの位置を建設候補地とし、直径74 m ×高さ60 mの水槽を設置します。装置内に蓄えられる超純水の総質量は26万トン、うち観測に用いる有効質量が19万トンとなります。水槽内壁には従来の2倍の感度を持つ高性能光センサー(図2)を約4万本備え、ニュートリノ反応から生じる微弱な光を高い精度で計測します。

 

図2 現行スーパーカミオカンデ(黒)と新型(青)光検出器の検出効率の比較

 

本計画は、文部科学省により策定された大型プロジェクトの推進に関する基本構想「ロードマップ2017」により、計画の着手、具体化に向けて緊急性及び戦略性が高いと認められる7計画のうちの一つとして選ばれています。

 

詳細については、次世代ニュートリノ科学連携研究機構ハイパーカミオカンデのホームページをご覧ください。

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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