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2017/10/10
祝:ノーベル賞を受賞した重力波初観測
2017年度ノーベル物理学賞は、レイナー・ワイス(Rainer Weiss)、バリー・バリッシュ(Barry Clark Barish)およびキップ・ソーン(Kip Stephen Thorne)というLIGOの研究者が受賞した。その授賞理由となった重力波の初直接観測は2015年9月14日のことであったから早い受賞ということになるが、物理学においてそれほど重要な「発見」と判断されたことになる。もともと観測されれば新聞の一面を飾ると言われていたが、それが公表された2016年2月11日の翌日の朝刊一面トップをその記事が独占したことは記憶に新しい。同じ研究分野にいるものとして、3人の受賞を心からお祝いしたい。また、LIGOの実現に尽力してきた多くの研究者にも祝福の言葉を贈りたい。ビッグバン宇宙国際研究センターのキップ・カンノン(Kipp Cannon)准教授もその一人で、LIGOのデータ解析は彼なしには成り立たなかったであろう。

さて、KAGRAの今後について少し記しておきたい。重力波初観測はAdvanced LIGOの第1回観測で達成されたが、8月25日に終了した第2回観測ではAdvanced Virgoを含めた3台による重力波観測が報告された。その際には重力波源の方向決定精度が飛躍的に改善されており、KAGRAの観測ネットワーク参加が非常に期待されている。KAGRAの現状としては、あと1年半で装置を完成させ、観測に必要な感度を出して、なるべく早く国際観測ネットワークに参加したいと考えている。その日を期待してほしい。
(文責:宇宙線研究所附属重力波観測研究施設長 大橋正健)
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―