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2017/09/06
シンプルな物理現象「拡散」で葉の形や大きさが決まる仕組みを解明
自然科学研究機構 基礎生物学研究所
東京大学大学院理学系研究科
概要
生物には各々の種類に応じた特徴的な形や大きさがあります。この形や大きさは、器官の中で細胞が分裂する時期や場所を正確にコントロールすることで決まります。岡崎統合バイオサイエンスセンター/基礎生物学研究所の川出 健介 特任准教授は、仏国ジャック・モノー研究所の谷本 博一 研究員、立教大学の堀口 吾朗 准教授、東京大学の塚谷 裕一 教授(岡崎統合バイオサイエンスセンター 客員教授)との共同研究により、植物の葉では、ANGUSTIFOLIA3(AN3)という転写共役因子がシンプルな拡散という物理現象で濃度の勾配をつくり、それに応じて細胞の分裂する時期や場所が決まっていることを発見しました。この成果は、米国東部時間2017年9月5日(日本時間6日午前1時)に米国生物物理学会誌Biophysical Journalに掲載されました。
図:FRAP解析
(上)全身で緑色蛍光タンパク質(GFP)を作っているシロイヌナズナ株の葉をFRAP解析の実験材料にして、原形質連絡を通るタンパク質の移動能を調べた。マゼンタ色で囲っている中央の1細胞にレーザーを照射すると、GFPの蛍光が退色する。引き続き観察していると、周囲の細胞からGFPが移動して来ることで、中央の細胞の蛍光強度は回復する。スケールバー = 10 µm.
(下)GFP蛍光強度の変化を時間の経過とともに示すと、指数関数的に回復していることが分かる。これは、GFPが原形質連絡の中を拡散していることを意味する。
詳細については、基礎生物学研究所のホームページをご覧ください。
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―