2015/02/12

大越慎一教授が第31回井上学術賞を受賞

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大越慎一教授

化学専攻の大越慎一教授が、第31回井上学術賞を受賞されました。井上学術賞は、自然科学の基礎研究で顕著な業績を挙げた研究者に贈呈される賞です。大越教授は、化学的基礎知識をベースに自身の斬新な設計概念に基づき、独創性あふれる相転移物質を数多く産み出してきました。例えば、磁性金属錯体を用いて、光・熱・電場などの物理的刺激、湿度や分子吸着などの化学的刺激に応答する機能性磁性体の創成に取り組み、光誘起スピンクロスオーバー強磁性体、キラル光磁性体と第二高調光の偏光面の90 度光スイッチング、熱により磁極が二回反転する磁性体、湿度応答型磁性体、超イオン伝導-強磁性体、光誘起磁極反転、強誘電‐強磁性金属錯体など、多数の新物質を世界に先駆けて開発してきました。また、大越教授は、極めて大きな保磁力を示す高性能フェライト磁石であるイプシロン型-酸化鉄、超高周波ミリ波吸収を示す高性能磁性体、室温で光可逆的な金属-半導体転移を発現するラムダ型-五酸化三チタンの研究を通して、社会に大きなインパクトを与えています。これらの大越教授の革新的な物質開発は、物質化学分野に新しい視座を与えるものであり、世界的に高い学術的評価を得ています。このような大越慎一教授の傑出した研究成果に敬意を表すと共に、井上学術賞受賞に対して、心よりお祝い申し上げます。

 財団法人井上科学振興財団 第31回井上学術賞受賞


(文責:化学専攻 准教授 山野井慶徳)

 

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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