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最速で瞬くオーロラの撮影に成功
大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立極地研究所
国立大学法人東京大学大学院理学系研究科
国立大学法人名古屋大学
国立大学法人京都大学
概要
福田陽子氏(論文執筆当時:東京大学大学院理学系研究科博士課程(国立極地研究所特別共同利用研究員))と国立極地研究所(所長:白石和行)の片岡龍峰准教授を中心とする、東京大学、名古屋大学、京都大学等の共同研究グループは、3年間にわたるオーロラの連続高速撮像により、これまで観測された中で最速のオーロラの明滅現象を発見し、発生メカニズムを明らかにしました。
オーロラと聞くと、ゆっくりとゆらめく光のカーテンを思い浮かべるかもしれません。ところが、ブレイクアップと呼ばれるオーロラの爆発現象が起こると、カーテンの一部で明るさや動きが非常に激しく変化する「フリッカリング」という現象が見られることがあります。このフリッカリングオーロラは、オーロラ現象の中でも明るさが最も速く変化するもので、酸素イオンのサイクロトロン振動数に相当する1/10秒前後の周期で明滅していることが報告されています。本研究では、さらに高速の明滅を検出するため、毎秒160フレームの撮影が可能な高速撮像カメラを使用して連続観測を実施しました。その結果、酸素イオンによる1/10秒周期の明滅と同時に、1/50秒周期の明滅や、1/80秒周期という高速の明滅を発見しました。これは、フリッカリングオーロラが酸素イオンだけではなく、水素イオンの影響を受けた電磁イオンサイクロトロン波によっても引き起こされている証拠と言えます。この結果は、オーロラの発生要因である電子とプラズマ波動の相互作用についての理解に貢献することが期待されます。
図:オーロラの加速領域と、フリッカリングオーロラの形成メカニズムの概念図。
本研究成果は、『Geophysical Research Letters』に、日本時間5月13日にオンライン公開されました。
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―