特集コンテンツ
2017/04/12
岡田康志教授が、平成29年度文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)を受賞

岡田康志教授
物理学専攻岡田康志教授が、平成29年度文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)を受賞されました。この表彰は、科学技術において顕著な成果を収めた方に与えられるものです。
岡田教授は、「共焦点顕微鏡をベースとした超解像顕微鏡の開発」に関する研究開発に対して受賞されました。光学顕微鏡の分解能は光の波長の半分程度が限界であると言われていましたが、この分解能を超えた超解像顕微鏡(2014年のノーベル化学賞)が現れ、生命科学を大きく発展させています。しかし、従来の超解像顕微鏡の欠点は、1枚の画像取得に約1秒以上かかるため、細胞内で起こる速い現象の観察ができなかったことです。例えば構造化照明により超解像を得る方法では、試料に約 9~25パターンの縞模様の照明光を当て画像を取得した後、コンピューターで計算して超解像画像を得ていたため、時間がかかりました。岡田教授は、オリンパス株式会社との共同で、照明光とおなじパターンの縞模様を通して観察することで、高速に超解像画像が得られるという新しい原理に基く超解像蛍光顕微鏡の開発を行い、画像取得時間を従来の約100倍(10ミリ秒で1枚)に向上し、細胞内で起こる速い現象の観察に成功しました。従来では不可能であった高速な超解像が得られることから、この顕微鏡は世界的に高く評価されています。
岡田教授の創造性の富む研究と開発に敬意を表すとともに、文部科学大臣表彰受賞に対して心からお祝い申し上げます。
平成29年度文部科学大臣表彰科学技術賞
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/04/1384228.htm
(文責:物理学専攻 教授 樋口秀男)
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―