2017/01/24

志甫淳教授が日本学術振興会賞を受賞

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志甫淳教授


数理科学研究科の志甫淳教授が第13回日本学術振興会賞を受賞されました。受賞業績は「p進数論幾何学におけるコホモロジー論、基本群論の研究」です。

数論幾何学は、1,2,3,・・・という整数を研究する数論と、空間の性質を研究する幾何学の境界分野です。2,3,5,7,・・・と続く素数1つ1つが点であるような空間を考え、整数をその空間上で定義された関数と考えるという視点が20世紀に確立し、フェルマーの最終定理のような古くからの問題も解決されるまでになりました。

志甫さんの主な研究対象は、正標数の代数多様体です。通常の多様体を扱う幾何学と同じように、空間をその性質を反映する基本群やコホモロジー群という代数的な対象を通して研究するのが基本的な手法です。このような対象の構成には、基礎体の標数とよばれる素数pと素な部分を扱うものと、pに関する部分を扱うp進的とよばれる方法の2つがあります。

後者のp進的方法が志甫さんの専門です。これは1960年代末に研究が始められたものの、難しさのために理論の整備が大きく遅れていました。クリスタル基本群の構成や、開多様体のコホモロジー論の基礎となる志甫予想の定式化などで、この分野の基礎の確立に大きく寄与した業績に対して、賞が贈られることとなりました。

これからもますますこの分野の発展にむけて活躍されることを楽しみにしてい
ます。おめでとうございます。

第13回(平成28年度)日本学術振興会賞
https://www.jsps.go.jp/jsps-prize/ichiran_13th.html


(文責:数理科学研究科 教授 斎藤毅)

 

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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