2016/12/22

化学専攻の磯部寛之教授が第33回井上学術賞を受賞

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磯部寛之教授


化学専攻の磯部寛之教授が、第33回井上学術賞を受賞されました。心よりお慶び申し上げます。

磯部教授は2007年度に本専攻から東北大学に教授として異動、本年4月に再度本専攻に戻られた新進気鋭の教授であり、自然科学の基礎的研究で特に顕著な業績をあげた50歳未満の研究者に贈られる本賞には誠にぴったりといえましょう。ご受賞の理由は「大環状芳香族炭化水素の合成・構造化学研究に立脚した新現象・新材料の開拓」で、同教授が展開したナノカーボン分子の設計・合成およびその機能開発研究を対象としたもので、昨年の日本化学会学術賞に引き続いてのご受賞です。「芳香族炭化水素を輪状に連ねることによって巨大ナノカーボンを模す」という着想のもと、拡張π電子系前駆体の合成や環状化反応を工夫し、多様で新しい幾何学的構造を持つナノカーボン分子群を生み出しました。有限長カーボンナノチューブ分子からは「分子ベアリング」を構築し、固体内でのフラーレンの高速分子回転を明らかにする一方、トルエンを基盤とした有孔ナノカーボン分子では、発光量子収率100%を実現するドープ型リン光発光有機ELを開発されました。最近では,ナフタレンを基盤として、黒鉛の2倍の電気容量を実現する全固体型リチウムイオン電池の負電極材料を開発しておられます。

現在は研究総括として科学技術振興機構ERATOプロジェクトを遂行されており、基礎と応用の両面でこの研究を展開、今後の益々のご活躍が期待されます。

井上学術賞
http://www.inoue-zaidan.or.jp/b-01.html?eid=00030


(文責:総括プロジェクト機構・化学専攻 教授 中村栄一)

 

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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