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2016/12/22
化学専攻の井元健太特任助教が第33回井上研究奨励賞を受賞

井元健太特任助教
本研究科化学専攻の井元健太特任助教が、第33回井上研究奨励賞を受賞されました。本受賞は井元氏のオクタシアノ金属錯体を構築素子とした多機能性分子磁性体に関する博士研究論文に対するものです。
井元氏は、金属イオンがシアノ基によって架橋されたシアノ架橋型金属錯体における、新規機能性の発現を目的とした研究を行いました。オクタシアノニオブ錯体でシアノ架橋した鉄イオンが、スピンをもたない低スピン状態とスピンを有する高スピン状態の間をスイッチングするスピンクロスオーバーという現象に着目し、スピンクロスオーバーを示す鉄イオンを結合させることにより、光照射により常磁性から強磁性へと変化する光誘起スピンクロスオーバー強磁性体の構築に成功しました。また、二段階転移を示す光磁性体の構築にも成功し、新しい光機能性を見出しました。特に、光誘起スピンクロスオーバー現象は新たなメカニズムによる光磁性現象として、今後の光スイッチング現象に関する研究に貢献する結果であり、化学分野のみならず、光物理の分野など広範な分野に寄与することが期待されます。井元氏は現在、博士論文の内容を発展させた研究を継続しており、今後の研究の発展が期待されます。
井上研究奨励賞
http://www.inoue-zaidan.or.jp/b-01.html?eid=00030
(文責:化学専攻 教授 大越慎一)
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―