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2016/08/16
山内薫教授 分子科学会賞ご受賞によせて

山内薫教授
化学専攻の山内薫教授が、「強光子場分子科学の開拓」の御業績により、第7回分子科学会賞を受賞されました。この賞は、分子科学研究分野において特に独創的で新たな研究領域の創成に結びつく質の高い研究成果をあげ、分子科学の発展に長年寄与したと認められる研究者に贈られる賞です。
山内教授は、高強度レーザー場中の分子の挙動を解明する「強光子場分子科学」の分野において、その黎明期から独創的な研究を展開されました。特に、分子内のクーロン場の大きさに匹敵する強度を持つ光の場の中において、分子がその幾何学的構造が瞬時的に変えること、分子内で特異な化学結合の組み換え反応が誘起されること、化学結合の切断を光の場によってコントロールできること、そして、光の場の中での電子散乱現象を利用することによってフェムト秒の時間分解能で分子の幾何学的構造を測定できることを、画期的な実験装置を次々と開発することによって実験的に明らかされました。さらに、光の場の下での分子ダイナミクスに関する理論研究に基づいて、分子内の水素原子核の動的挙動に関する解釈を与えるなど、実験と理論の立場から強い光の場を用いた新しい分子科学の領域を開拓されました。これらの御業績が高く評価され、今回の御受賞となりました。御受賞を心よりお祝い申し上げます。
第7回分子科学会賞
http://www.molsci.jp/
(文責:化学専攻 准教授 歸家令果)
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―