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2016/08/05
横井佐織さんが平成28年度時実利彦記念神経科学優秀博士研究賞を受賞

横井佐織さん
平成26年度に生物科学専攻で学位を取得された横井佐織さん(現基礎生物学研究所・学振特別研究員PD)が、「平成28年度時実利彦記念神経科学優秀博士研究賞」を受賞されました。受賞の対象となったテーマは「メダカの社会性動機付けにおけるバソトシンとイソトシンの機能に関する遺伝学的研究」です。同賞は脳研究において著しい功績を残された時実利彦先生のご令室(時実伸様)の基金の事業として創設され、優れた大学院博士課程の研究テーマに贈られます。横井さんは竹内秀明先生(当時助教、現岡山大学准教授)の研究グループで、3匹のメダカ(オス2匹、メス1匹)同一水槽に入れると、1匹のオスがライバルオスとメスとの接近を防ぐように割り込む行動「配偶者防衛行動」を示すことを発見しました。さらに変異体を作出し、ライバルオスに勝つために必要なホルモン(バソトシン)を同定しました。またイソトシン(哺乳類オキシトシンホモログ)変異体は親密でない個体に対する社会行動(求愛、攻撃、配偶者防衛)の動機付けが低下していることを発見し、「人見知り」のような社会障害をもつことを示唆しました。魚類の社会行動を世界に先駆けて遺伝学的に解析し、親密性や三角関係といった動物の社会適応に関わる分子神経基盤の一端を解明した点が高く評価されました。現在、横井さんは新天地でメダカの研究を発展させており、独創的研究を展開できる若手研究者として今後の活躍が期待されます。
時実利彦記念神経科学優秀博士研究賞
http://www.jnss.org/tokizane_kenkyusyou/
(文責:生物科学専攻 教授 久保健雄)
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―