2016/04/28

永原裕子教授が2016年春の紫綬褒章を受章

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永原裕子教授

地球惑星科学専攻の永原裕子教授が、学術・芸術・スポーツ分野で著しい業績を挙げた功労者に授与される褒章である、紫綬褒章を受章されました。心よりお慶び申し上げます。

永原教授は、初期太陽系における惑星材料物質の進化について、岩石学と鉱物学をベースに実証的・理論的に取り組み、物理過程と化学過程を統合したアプローチで新しい分野を切り開かれました。とりわけ、隕石を用いた研究において、地球の材料物質と考えられている始源的隕石に含まれるコンドリュールと呼ばれる粒子が瞬間的な加熱によって前駆岩石片が再溶融して形成されたものであること、そしてコンドリュールを取り囲むマトリクス物質が原始太陽系円盤の始原的物質であることなどを、世界で初めて明らかにしました。また、原始太陽系円盤に近い条件を実験室で再現し、世界に先駆けて鉱物の蒸発・凝縮実験を行うことで、太陽系形成初期に生じたさまざまな物理化学過程を明らかにされました。こうした研究成果は、現在、「宇宙鉱物学」として、太陽系外惑星系形成の観測的研究とも結びついた新分野へと発展しています。

今回の受章は、世界的に評価の高いこうした先駆的研究による学術への貢献や国際的なリーダーシップが高く評価されたものです。今後も、地球惑星科学分野の進むべき道を先導していただけることを期待しております。

内閣府ウェブサイト
http://www8.cao.go.jp/shokun/hatsurei/26haru.html


(文責:地球惑星科学専攻 教授 田近英一)

 

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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