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化学専攻の西原寛教授が第68回日本化学会賞を受賞

西原寛教授
化学専攻の西原寛教授が、第68回日本化学会賞を受賞されました。この賞は学術研究を通し、化学分野において極めて顕著な貢献をした研究者に贈られる賞です。
西原先生は配位結合を駆使して目的の構造体を構築する「配位プログラミング」の概念に基づき、金属錯体の多核化、π共役系の拡張に よる高次機能性分子構造体の創成を行ってきました。これらの多くはユニークな物性や機能を発現し、一部の物質については化学素子への応用展開も行っています。 具体的には、一次元鎖に拡張したレドックス金属錯体ワイヤの逐次的構築とその長距離電子輸送能の定量的評価、二層界面合成法を用いた導電性・エレ クトロクロミズム特性・光電変換能を有する配位ナノシートの開発、生物学・電子工学・ナノ科学を融合した高感度バイオ共役フォトセンサの作製、酸化還元や発光特性と連動した構造異性化を示す金属錯体スイッチの合成とスイッチング挙動の熱力学的評価などが挙げられます。これらの研究を通して 開発した化合物や材料は先駆的かつ画期的な点で学術界のみならず、産業界からもたいへん注目されています。
西原先生は、光科学、ナノ科学、生物学、電子工学など幅広い分野から無機化学を俯瞰し、常に新しいフロンティアを開拓し続けて来ら れました。そのご業績が高く評価され、今回のご受賞となりました。ご受賞を心よりお祝い申し上げます。
第68回日本化学会賞
http://www.chemistry.or.jp/news/information/27-11.html
http://www.chemistry.or.jp/news/information/96-325.html
(文責:化学専攻 准教授 山野井慶徳)
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―