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2016/04/15
塩谷光彦教授が平成28年度文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞

塩谷光彦教授
化学専攻の塩谷光彦教授が、平成28年度文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞されました。この表彰は、科学技術に関する研究開発等において顕著な成果を収めた方に与えられるものです。
塩谷教授は「生体情報分子を用いた精密金属配列化に関する研究」の業績により受賞されました。金属錯体の集合体は、多電子が関わる高次の反応や物性を発現する高いポテンシャルをもっています。しかしながら金属錯体の集積・配列化法は、無限構造や特定構造に限られていました。塩谷教授は、「数」「種類」「順序」の情報を有する生体高分子の構造特性に着目し、人工生体高分子を鋳型配位子とする金属イオンの集積法を確立しました。金属配位子を導入したDNAやペプチド等の人工生体高分子を設計・合成し、金属イオンとの自己組織化により、同種・異種の金属を「数」「種類」「順序」を制御して配列化することに成功しました。この成果は、周期表の8割を占める金属元素の自在配列化に関する学理と技術を発展させ、金属配列に特異な物性や反応性を基盤とする物質科学に大きく寄与するものです。生体情報分子を鋳型とする金属錯体の配列化法は、国内外の多くの研究グループによりナノテクノロジーやバイオテクノロジー分野にも展開されつつあり、世界的にも高い評価を得ています。
塩谷教授の傑出した研究成果に敬意を表すとともに、文部科学大臣表彰受賞に対して心よりお祝い申し上げます。
平成28年度文部科学大臣表彰科学技術賞
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/28/04/1369460.htm
(文責:化学専攻 教授 西原寛)
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―