2016/04/06

菅裕明教授が読売テクノフォーラム・ゴールドメダル賞を受賞

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菅裕明教授

化学専攻の菅裕明教授が、この度2016年読売テクノフォーラム・ゴールドメダル賞を受賞されました。受賞研究テーマは「特殊ペプチドを機軸とした創薬基盤技術の開発」です。

近年、製薬業界で活発に開発されている抗体医薬品などのバイオ医薬品は、従来の低分子医薬品にはない優れた特性を多くもっている一方で、細胞透過性が低く対応できる標的が制限されるといった問題点も抱えておりました。そこで、低分子でもなく抗体でもない、両方の特性を併せもつ次世代型バイオ医薬品の誕生が望まれています。多彩な生理活性を示す生体分子である中分子量ペプチドは、その候補の一つではありましたが、その生体不安定性や人工の生理活性ペプチド開発の困難さから、汎用性の高い創薬分子として利用されることは、これまでほとんどありませんでした。

今般菅教授は、既存の常識を覆す「特殊ペプチド創薬」という概念を提唱し、望みの活性を示す人工ペプチド分子を生み出すオンリーワン技術の開発に成功しました。この手法では、1兆種類を超える創薬候補を数時間で合成し、この中からわずか数週間で目的の活性種を発見することができます。

菅教授の研究は、近年隆盛を極めるペプチドを基盤とした次世代型バイオ医薬品研究の先鞭となっただけでなく、現在もこの業界を大きくリードしている存在です。実際、菅教授が設立された大学発ベンチャーであるペプチドリーム社は、国内外の大手製薬企業と共同で特殊ペプチド医薬の実用に向けた試みを活発に展開しており、日本ベンチャー大賞・内閣総理大臣賞を先日受賞しております。日本発・世界初の菅教授の技術から、今後多くの夢の新薬が生み出されることを祈念すると共に、本賞受賞に対して心からお祝い申し上げます。


(文責:化学専攻 助教 後藤佑樹)


 

 

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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