2016/03/09

ミュー粒子の崩壊から宇宙の始まりを探る

概要

大統一理論やニュートリノ振動を引き起こす新しい物理は、標準理論で禁じられているミュー粒子の「ミューイーガンマ崩壊」がおよそ1兆に1回程度起こると予言されています。

東京大学素粒子物理国際研究センター・森俊則教授および大谷航准教授と高エネルギー加速器研究機構・三原智教授の研究グループは巧みで優れた測定器を開発し、スイス・イタリア・ロシア・米国との国際チームを率いて、スイスPSI研究所にてミューイーガンマ崩壊を探索するMEG実験を実施しました。以前の実験より約30倍高い実験感度を達成し、世界で初めて大統一理論やニュートリノ振動を引き起こす新しい物理に迫まりました。4年にわたる探索にもかかわらずミューイーガンマ崩壊は見つからず、2.4兆に1回未満の頻度でしか起こらないことがわかり、ニュートリノ振動の起源となる新物理や大統一理論に厳しい制限を課すことになりました。

MEG実験での経験を活かして、MEGの約10倍の感度を持つアップグレード実験MEGII の準備を進めています。来年中の実験開始を予定しており、最低3年間の探索により25兆に1回のミューイーガンマ崩壊を捉えることを目指しています。


本研究は「The European Physical Journal C」(オンライン版3月8日)に掲載されました。

詳細については、素粒子物理国際研究センターのホームページをご覧ください。

 

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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