2015/10/16

高橋嘉夫教授が2015年度日本地球化学会賞を受賞

32

高橋嘉夫教授

地球惑星科学専攻の高橋嘉夫教授が2015年度日本地球化学会賞を受賞されました。この学会賞は地球化学の分野で特に優秀な業績を収めた研究者に与えられるもので、高橋教授の微量元素の化学種解析に基づく環境地球化学的研究に対する評価の結果でした。高橋教授の研究は、すでに国内外で高い評価を得ていました。

地球表層物質(水、土壌、岩石など)に存在する元素の化学種解析、特に液相-固体界面での化学種解析より、化学反応素過程を解明し、これに基づき地球や環境のマクロな現象を解明していくことが高橋教授の研究の基本のようです。このような分野を「分子地球化学」、「分子環境化学」として発展させようと考えていらっしゃるようです。高橋教授の研究のなかで、分析手法としてのX線吸収微細構造法の天然試料への適用は世界的にも先駆的で、その成果も画期的なものでした。マンガン団塊への元素の濃集機構、風化や続成過程での希土類元素の挙動、バクテリアと金属イオンの相互作用の解明など画期的な研究をされてきました。その中でもモリブデンとタングステンの研究は、地球初期生命進化の推定への道を開いたものだと考えられます。一方、福島原発事故直後から放射性セシウムの挙動に関して精力的に調査・研究を行われ、科学者としての社会的役割への認識も高いと思われます。今後も独創的な発想で、地球表層での元素分配の法則を基軸とした現在および過去・未来における地球表層環境・生命の研究の発展が十分期待できます。

2015年度日本地球化学会賞
http://geochem.jp/conf/2015/outline.html


(文責:地球惑星科学専攻 教授 村上隆)

 

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

  • このエントリーをはてなブックマークに追加